宮部金吾

宮部金吾の生涯と業績

生い立ちと教育

宮部金吾（みやべ きんご）は1860年4月27日、江戸の下谷に生まれました。彼の生家は探検家松浦武四郎の住処の近くにあり、松浦から聞いた蝦夷地（現在の北海道）の話が彼の進路に大きな影響を与えました。明治7年に東京外国語学校へ入学し、土木工学者となる広井勇とともに学びました。後に彼らは札幌農学校で再び同級生となります。

札幌農学校での学び

1877年、宮部は札幌農学校に入学しました。この時の同期には新渡戸稲造や内村鑑三がいました。彼らは1878年、メソジスト教会のハリス宣教師から一緒に洗礼を受けることになります。宮部は内村と親しい友人となり、彼の卒業時の成績は内村に次ぐ2位でした。

教員としての活動

卒業後、宮部は開拓使御用掛に任命され、1881年には東京大学に派遣されました。これは今後の農学校の教師としての訓練を目的としたものでした。1883年には札幌農学校の助教に就任し、植物園の設立に向けての計画に取り組むことになります。その準備の一環として、道東での植物採集を実施し、1886年にはアメリカのハーバード大学に留学しました。エイサ・グレイという著名な植物学者から学び、1889年までに博士号を取得します。

帰国後、宮部は札幌農学校の教授として、そして日本初の近代的な植物園の主任を務め、後に初代園長となります。1899年には理学博士の学位が授与され、彼の学問的な地位はさらに確立されました。

退官と栄誉

1927年に定年退官した後、宮部は北海道帝国大学の名誉教授に任命されました。その後も日本学士院の会員に選出されるなど、学術界での影響力を持ち続けました。1936年には日本植物学会の会長に就任し、1946年に文化勲章を受章します。彼の業績は多岐にわたり、1949年には札幌市の栄誉市民第一号にも選ばれました。

さらなる業績と記念

宮部金吾は、多くの著作を残しています。特に『北海道主要樹木図譜』や『南千島植物誌』などが有名です。また、彼の名前に由来する植物の名称や地域名も存在し、然別湖に住むミヤベイワナや植物の分布境界線「宮部線」などがその例です。

晩年と死去

彼は1951年3月16日に92歳で亡くなりました。葬儀は札幌の独立キリスト教会で行われ、彼の墓は円山霊園にあります。宮部が晩年を過ごした札幌市桑園の住宅跡は「宮部記念緑地」として公園化され、北海道大学植物園内には彼を称える宮部金吾記念館も設置されています。

まとめ

宮部金吾は日本の植物学の発展に多大な貢献をした学者です。彼の業績は今もなお語り継がれており、北海道の自然環境に関わる研究や教育において重要な役割を果たした人物として、歴史にその名を刻んでいます。

もう一度検索