家内労働法

家内労働法について

家内労働法（昭和45年法律第60号）は、1960年代に日本で内職者と呼ばれる家内労働者を保護するために成立した法律です。この法律は、1970年に衆議院と参議院の双方で可決され、その後公布されました。施行の時期は、審議機関や施行体制に関する部分が6月1日、その他の事項が10月1日に開始されました。

制定の背景

家内労働法の制定背景には、1958年から1959年にかけて大阪や東京で発生したベンゼン中毒の事件があります。この事件では、ゴムのりを使用していた家内労働者が多数の骨髄障害を抱えてしまいました。このため、労働省はその後10年にわたって調査を行い、家内労働者の保護に関する法案を作成しました。

家内労働者は、正式な労働者とは異なり、委託者の指揮監督の下で働いていません。しかし、一般的に彼らは委託者に対して相対的に弱い立場にあり、報酬が主に生活費を賄うためのものであることから、この法律で保護されています。

法律の構成

家内労働法は、以下のような構成を持っています：

1. 総則（第1条・第2条）
2. 委託（第3条―第5条）
3. 工賃や最低工賃（第6条―第16条）
4. 安全と衛生（第17条・第18条）
5. 審議機関に関する規定（第19条―第24条）
6. 雑則（第25条―第32条）
7. 罰則（第33条―第36条）

目的と定義

この法律の目的は、工賃の最低額や安全・衛生基準を定めることにより、家内労働者の労働条件を向上させ、彼らの生活の安定に寄与することです。法律では、家内労働者やその補助者がどのように定義されているかも詳細に述べられています。

委託者と家内労働者の役割

「委託者」とは、家内労働者に業務を委託する人を指します。逆に、家内労働者は、委託者から受け取った物品を製造・加工する者です。家内労働者は、通常、同居の親族以外をほとんど雇わない形態が求められています。

工賃に関する規定

工賃の支払いは原則として通貨で行わなければならず、滞りなく支払うことが求められます。また、最低工賃が適用されている家内労働者に対しては、決定された最低工賃以上の支払いが必要です。

安全衛生の基準

家内労働の中で使用される機械や器具については、委託者が安全対策を講じる義務があります。家内労働者自身も安全措置を取ることが求められます。これは彼らが自宅で行う作業のため、環境による危険を防ぐためでもあります。

行政監督と罰則

家内労働法の遵守状況は労働基準監督機関によって監視されます。この法律に違反した場合、委託者には懲役刑や罰金が科せられることがあります。特に安全衛生基準や工賃に関する違反は厳しく取り締まられます。

まとめ

家内労働法は、家内労働者の権利を守るために重要な法律であり、彼らの生活の安定や労働条件の改善を目指しています。この法律によって、家内労働者が安心して働ける環境が整えられることが期待されています。

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