家原寺

家原寺（えばらじ）

家原寺は、大阪府堺市西区家原寺町に位置する行基宗の大本山です。山号は一乗山、本尊は智恵を司る文殊菩薩であり、地元では「智恵の文殊さん」として広く親しまれています。かつては高野山真言宗の別格本山でしたが、現在は行基宗の本山として、その教えを広めています。

歴史

寺伝によれば、家原寺は慶雲元年（704年）に行基によって開かれました。行基が生家を寺に改めたのが始まりとされています。その後、寛元3年（1245年）に叡尊によって再興され、当時は多くの塔頭を有していましたが、兵火などにより衰退しました。江戸時代には田安家が帰依し、寺領の寄進を受けるなどして復興を遂げました。しかし、明治初年の廃仏毀釈によって再び荒廃に見舞われます。

1989年（平成元年）には三重塔が再建され、寺観が整えられました。そして、2018年（平成30年）に高野山真言宗から独立し、行基宗を創設、その本山として新たな歴史を歩み始めています。

家原寺は合格祈願の寺としても有名で、以前は本堂の壁に直接願い事を書き入れる習慣がありました。そのため、「落書き寺」とも呼ばれていましたが、現在はハンカチに願い事を書いて外壁に張り付ける形に変わり、「ハンカチ寺」とも呼ばれています。この変化は、寺を訪れる人々の願いを尊重しつつ、景観を保つための工夫と言えるでしょう。

山門に安置されていた仁王像は、明治時代の廃仏毀釈の混乱の中で、村人によってフランス人の美術商に売却されてしまいました。現在はアメリカ合衆国首都ワシントンD.C.のフリーア美術館に収蔵されており、海を越えてその姿を伝えています。

境内

家原寺の境内には、以下のような見どころがあります。

本堂（文殊堂）: 慶安元年（1648年）に再建されたもので、本尊の文殊菩薩が安置されています。
経堂: 経典を収蔵する建物です。
宝物庫: 寺に伝わる貴重な文化財を収蔵しています。
納骨堂: 遺骨を納めるための施設です。
開山堂: 行基を祀るお堂です。
行基菩薩誕生塚: 行基が生まれたとされる場所です。
行基菩薩御影堂: 行基の像を安置するお堂です。
西弁財天堂、東弁財天堂: 弁財天を祀るお堂です。
鐘楼: 時を告げる鐘が吊るされています。
賓頭盧堂: 賓頭盧尊者を祀るお堂で、触れると病気が治ると言われています。
水かけ地蔵堂: 地蔵菩薩に水をかけて祈願するお堂です。
薬師堂: 薬師如来を祀るお堂です。
ヤマモモの木: 堺市指定の保護樹です。
三重塔: 1989年（平成元年）に再建された美しい塔です。
中院: 本坊として、寺の中心的な役割を果たしています。
蓮池: 夏には美しい蓮の花が咲き誇ります。
北向地蔵堂: 北を向いた地蔵菩薩を祀るお堂です。
翼舎、不動堂: その他のお堂です。
南大門（仁王門）: 東大寺南大門のように、仁王像が向かい合って立っています。

文化財

家原寺には、数々の文化財が所蔵されています。

重要文化財: 絹本著色行基菩薩行状絵伝 3幅（奈良国立博物館寄託）
大阪府指定有形文化財: 石造板碑
大阪府指定史跡: 家原寺境内

霊場

家原寺は、以下の霊場の札所となっています。

西国薬師四十九霊場 第15番
おおさか十三仏霊場 第3番
仏塔古寺十八尊霊場 第1番
和泉八十八ヶ所霊場 第1番

交通

JR阪和線津久野駅下車
南海バス「文珠前バス停」下車

家原寺は、行基の足跡を辿り、智恵を授かる場所として、また、美しい境内を散策し、心を癒す場所として、多くの人々に親しまれています。ぜひ一度、訪れてみてください。

もう一度検索