家族でハッスル歌合戦

家族でハッスル歌合戦（かぞくでハッスルうたがっせん）

概要

『家族でハッスル歌合戦』は、1976年の夏、フジテレビによって制作・放送されたユニークな視聴者参加型音楽バラエティ番組です。この番組は、当時のフジテレビにおける平日昼の帯番組枠『お昼のスペシャル』内で、夏休み期間に合わせた集中的な企画として展開されました。一般的な歌唱コンテストとは異なり、子供を含む一般の家族がチームを組んで出場し、歌やものまねといったパフォーマンスを披露し合うという、家族の絆と賑やかさを前面に出した内容が特色でした。

放送情報

番組は、1976年8月2日から同年9月3日にかけて、フジテレビ系列の全国ネットワークを通じて放送されました。放送時間は、毎週月曜日から金曜日までの平日昼帯、午後12時15分から午後1時00分までの45分間（日本標準時）でした。この期間中に合計20回が放送されており、約1ヶ月間にわたる短期集中シリーズとして位置づけられます。放送枠である『お昼のスペシャル』は、特定のテーマや期間限定の企画番組を放送するために活用されていた帯枠と考えられます。

番組内容

本番組の最大の特徴は、その出場形式にありました。夏休み期間という背景を活かし、番組には毎回、子供を含む3人1組の一般人家族がチームとして参加しました。彼らは、それぞれが得意とする歌謡曲や民謡などを熱唱したり、人気歌手のものまねを披露したりして、そのパフォーマンスを競い合いました。
審査は、各回のゲスト出演者たちが担当しました。歌唱力や技術はもちろんのこと、「ハッスル」という番組タイトルが示すように、家族の一体感や楽しさ、ユーモア、そして会場を盛り上げる力といった要素も評価の対象となったことが推測されます。単に上手な歌を歌うだけでなく、家族ならではの個性やチームワークを見せることが重要視されたと考えられます。番組全体としては、視聴者参加者とゲスト、司会が一体となって、夏の昼下がりに明るく賑やかな時間を作り出すことを目指していたと言えるでしょう。

出演者

番組の司会は、当時人気を博していた落語家の笑福亭鶴光と、フリーアナウンサーとして活躍していた高橋基子が務めました。異色の組み合わせである二人の掛け合いが、番組の軽快なテンポとアットホームな雰囲気を演出したと考えられます。審査員は固定ではなく、各回のゲスト出演者が務める形式でした。これにより、毎回異なる視点からの評価が提供され、番組に多様な彩りを与えていたでしょう。

当時の背景と番組の性格

1970年代は、視聴者参加型の音楽番組やバラエティ番組がテレビ放送で盛んに制作されていた時代でした。特に平日の昼帯は、主婦層を中心に多くの視聴者を獲得できる時間帯であり、様々な趣向を凝らした番組が企画されていました。『家族でハッスル歌合戦』も、こうした時代の流れの中で生まれた番組の一つと言えます。
また、夏休みという特定の期間に絞って放送されたことは、その時期ならではの家族視聴や子供の参加を意識した企画であることを明確に示しています。短い期間に集中して放送することで、夏の特別企画としての印象を強く打ち出し、視聴者の関心を集めようとした意図がうかがえます。番組タイトルに含まれる「ハッスル」という言葉は、「元気に活動する」「一生懸命に取り組む」といったポジティブな響きを持ち、番組が目指す明るく活気あふれる雰囲気をよく表しています。これは、家族が力を合わせてパフォーマンスに挑戦する姿を応援し、視聴者にも元気を与えるという番組のコンセプトを反映していると言えるでしょう。
残念ながら、番組に関する詳細な資料や映像は現在のところ少なく、その全容を知ることは容易ではありませんが、当時の新聞番組欄などに残された記録から、一時期ではあれ、多くの家族と視聴者に夏の昼間の楽しいひとときを提供した番組であったことがうかがえます。

参照情報

本項目は、主として1976年8月2日から同年9月3日までの『産経新聞』に掲載されたラジオ・テレビ欄の情報に基づいています。当時の新聞に掲載された番組概要や放送スケジュールなどが、この番組に関する基本的な情報の源となっています。

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