家族の神話

家族の神話

『家族の神話』は、著者阿久悠による小説であり、1984年に講談社から発刊された作品です。また、この作品を元にしたテレビドラマも放送され、幅広い視聴者に感動を与えました。物語は、鎌倉にあるスペイン料理店「ガスパチョ」の主人である野々村佳世を中心に展開します。彼女は、かつては有名なプロデューサーである愛刀秀三と結婚していましたが、彼の浮気や多忙な仕事が原因で、12年前に離婚しました。それ以来、彼女は一人息子の英を女手一つで育ててきました。

英は高校三年生になり、母親の佳世に対しても男としての意識を持つようになります。母と子の関係が変わりゆく中、英はコック長の笹田に離婚した父の姿を重ねて見ることもありました。物語のある日の朝、海岸沿いでの出来事によって英は、一目で魅了される少女、阿南亜紗子と出会います。ポルシェに乗っていた亜紗子との偶然の接触は、英の心に大きな変化をもたらします。実は、その後、英の友人のオートバイも亜紗子の車と接触し、英は再び彼女と顔を合わせることになります。

この再会をきっかけに、英は亜紗子に惹かれ、彼女との関係は徐々に深まっていきます。しかし、佳世は息子が新たな恋愛をスタートさせていることを知り、まるで愛人を奪われたような気持ちになります。一方で、佳世自身も偶然知り合った歯科医・磯上から食事に誘われ、心が揺れ動くことになります。物語は、親子の複雑な関係、離婚によって生じる心の葛藤、そして家族の絆について、英の成長を通じて深く掘り下げています。

原作者の阿久悠は、「家族はサヤエンドウのようなものであり、この作品では豆がどうサヤに収まるかのみならず、個々の人物像にも焦点を当てている」と述べています。家族というテーマを扱ったこの作品は、物語全体を通じてキャラクターたちの内面に迫り、観客に深いメッセージを届けます。

テレビドラマ

本作をベースにしたテレビドラマは、1982年6月3日から同年8月19日まで毎日放送（MBS）・TBS系列の「木曜座」枠で放送されました。全12話の構成で、主なキャストには、野々村佳世役を演じた八千草薫、愛刀秀三役の津川雅彦、笹田役の中尾彬などがいます。また、主題歌は井上大輔が歌っており、作詞を阿久悠が担当しました。

まとめ

『家族の神話』は、家庭の絆と人間関係の複雑さを描いた作品です。母子の愛情、再会する父、そして若い恋愛を通じて、登場人物たちがそれぞれの悩みや喜びを抱えながら成長していく姿に心を打たれます。この物語は、家庭や愛について再考させられる貴重な作品です。

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