津川雅彦

津川 雅彦（つがわ まさひこ）

津川雅彦は、1940年1月2日に京都で生まれ、2018年まで日本のエンターテインメント界で活躍した俳優、映画監督、芸能プロモーター、そして時事評論家です。彼は家族や先祖が演劇界に関わっており、演劇人の血筋を引く背景を持っています。父は歌舞伎役者で、母は女優、祖父は映画監督という恵まれた環境で育ちました。

俳優としてのキャリア

津川の俳優デビューは1956年、日活映画『狂った果実』で、石原裕次郎の弟役で注目を集めました。その後、1959年には木下恵介監督の『惜春鳥』に出演し、1960年代には大島渚監督の『太陽の墓場』でもその才能を示しました。津川は1960年代から80年代にかけて、多くの映画で活躍し、特に伊丹十三監督の作品には多くの出演が記録されています。『マルサの女』や『スーパーの女』などの代表作では、存在感あふれるキャラクターを演じました。

1999年には映画『プライド・運命の瞬間』で東條英機を演じ、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を獲得。その後2000年にはNHK大河ドラマ『葵 徳川三代』で主役の徳川家康を演じ、一世を風靡しました。彼は時代劇や現代劇問わず幅広い役柄を演じ分け、特に徳川家康や秀吉の役で数多くの作品に出演しました。

映画監督としての活動

俳優業と並行して、津川は『マキノ雅彦』名義で映画監督としても活動しました。3本の映画を監督し、特に『寝ずの番』では紫綬褒章を受賞しました。自身の監督作の中でも、津川の独自の視点や演出が評価されています。

経営者・事業家としての顔

津川は俳優業に加えて、おもちゃ屋として知られる「グランパパ」を経営していました。特に子供向けの安全なおもちゃの普及に努め、注目を集めましたが、経営は困難にも見舞われ、約6億5千万円の債務を抱えるという試練も経験しました。

また、津川はスコットランドの古城「ロックハート城」を解体し日本に移築する壮大な計画にも着手しましたが、最終的には計画が頓挫しました。経営者としての挑戦は多岐に渡り、彼自身の個性を活かしたプロジェクトにフルに取り組んだことが伺えます。

私生活と人間関係

俳優生活の中で、津川は1982年に女優の朝丘雪路と結婚し、彼女とは長い年月を共に過ごしました。娘の真由子を溺愛し、私生活でも家族を大切にしていたことが知られています。また俳優の長門裕之と兄弟であり、兄弟間では競争心を持ちながらも、互いを高めあった関係でした。

晩年には多くの病気を抱えながらも、テレビや舞台に立ち続け、最後の出演は2018年の『昭和偉人伝』でした。彼の語りは、肺と心臓の病気を抱えながらも生きることへの希望を込めたもので、多くのファンに感動を与えました。

死去とその後

津川は2018年8月4日、心不全によって逝去しました。その78年の生涯は、映像や舞台で多くの人々に感動を与え続けました。彼の功績は今後も広く語り継がれていくことでしょう。彼の戒名は「松鶴院雅堂浄彦居士」であり、墓所は京都の龍安寺にあります。津川雅彦の名は、今後も多くの人々の記憶に残り、彼の演じたキャラクターたちが生き続けることでしょう。

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