家紋 (松本清張)

家紋

『家紋』とは、著名な作家松本清張による短編小説であり、1967年4月に『小説新潮』に掲載されました。本作は「十二の紐―橙色の紐」という副題を持ち、同年12月には短編集『死の枝』に収録されました。大変な人気を誇り、1990年と2002年にはテレビドラマ化もされ、多くの視聴者に親しまれています。さらに、市原悦子による朗読CDも2003年に発表されるなど、幅広いメディアでの展開が見られました。

あらすじ

物語は、粉雪が舞う寒い1月16日の夜、北陸地方に住む生田市之助が本家の者からの使いに呼び出されるところから始まります。釣鐘マントを身にまとった男が、本家の当主である妻スギの容体が悪化しているとの知らせを持ってきます。市之助はその知らせを受け、すぐに家を離れ本家へ向かいます。

この際、彼は妻の美奈子と娘の雪代にも来るようにとマントの男に促されます。しかし、熱を出していた雪代は隣家の主婦・お房に預けられることになります。母親である美奈子が出て行く姿が、雪代の目には最後の姿として焼き付いてしまうのです。

テレビドラマ化の詳細

1990年版

この小説は1990年に「松本清張スペシャル・家紋」として、日本テレビ系列の「火曜サスペンス劇場」で放送され、視聴率は25.0%を記録しました。若村麻由美が生田美奈子＆雪代を演じ、その他のキャストには萩原流行、河原崎次郎、井川比佐志などが名を連ねています。また、監督には山根成之氏が起用され、脚本は大野靖子氏が担当しました。

このドラマの撮影は宗派の寺を借りて行われ、使用された輪袈裟によって宗教団体から抗議を受ける事態が発生しました。その結果、再放送と二次使用が行われない旨の合意に達しました。

2002年版

続いて、2002年には「松本清張没後10年特別企画・家紋」として、BSジャパンの「BSミステリー」枠と後にテレビ東京系列で放送されました。こちらの視聴率は15.5%で、岸本加世子が主演を務めるなど、内容を一新した構成となっています。監督は長尾啓司氏が担当し、原作の面白さを引き出すべく、キャストとスタッフが一体となって制作に挑みました。

まとめ

『家紋』は、松本清張の魅力を存分に感じられる短編小説で、その物語はドラマ化されることでより多くの人々に親しまれています。物語の緊迫感や人間関係を描いた独特な魅力は、テレビドラマでも引き継がれ、視聴者の心をつかみました。時間が経っても色あせないこの作品は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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