家臣団

家臣団とは

家臣団とは、将軍や大名といった武家に仕える家臣の集団を指します。特に、主君の側近くに仕える者は近臣と呼ばれました。この家臣団のあり方は、時代とともに変化を遂げてきました。

中世以前の主従関係

中世以前の武士の主従関係は、必ずしも絶対的なものではありませんでした。武士は、武門の棟梁に従属する家人として、その保護を受ける代わりに、自らの利益を追求していました。平安時代の郡司や土豪の系譜を引く武士たちは、国府の在庁官人として国府行政の一端を担う一方、荘園を寄進して税を逃れ、武力侵攻に対しては、武門の棟梁に臣従することで難を逃れていました。このように、地方武士は複数の主従関係を持つことで、独立と自己保存、そして勢力拡大の機会をうかがっていたのです。特に武士間の主従関係は利害関係が如実であり、不利な状況になれば、主君を離れ敵対勢力に鞍替えすることも珍しくありませんでした。

鎌倉幕府の成立後も、この傾向は続きました。室町時代になると、守護の権限が強化され、荘園への収税権などを獲得し、国人領主を被官として従属させるようになりました。しかし、国人領主も幕府の奉公衆の地位を得て守護の干渉を防いだり、逆に守護の被官として貢献度を高め、守護代の地位を得るなど、したたかに生き抜いていました。このように、中世以前の主従関係は、利害を共有することで成立しており、決して絶対的なものではありませんでした。被官が他の守護に寝返ったり、一揆を結んで守護に対抗するケースもあり、主従関係は常に流動的でした。

戦国大名と家臣団

戦国時代に入ると、下剋上の風潮が強まり、主従関係における利害の共有はさらに重要になりました。しかし、戦国大名と中世以前の守護大名との大きな違いは、強固な家臣団を形成できたかどうかにありました。戦国大名にとって、有能な家臣の登用は不可欠でした。従来の血縁や家柄だけでなく、実力次第で家臣に取り立てる実力主義的な側面が見られるようになりました。尾張の織田信長は、農民の子から足軽になった羽柴秀吉（豊臣秀吉）を家臣に登用した例は、その象徴と言えるでしょう。一方で、譜代の家臣と新参の家臣との間に軋轢が生じることもありました。

戦国時代後期には、半独立的な地位にあった被官層を完全に家臣化し、城下町に屋敷を与え、家臣とその家族を住まわせることで、主従関係を強化しました。豊臣秀吉の時代には、兵農分離が進められ、平時は農業に従事していた武士を文吏または武人として専業化させました。これにより、大名と家臣の関係は、必要に応じて登城する関係から、常に登城し任務を遂行する関係へと発展していきました。

江戸時代以降

江戸時代になると、将軍の絶対的な権力のもと、大名と家臣の関係はより絶対的な主従関係へと変わりました。知行制に代わり、俸禄制が導入され、家臣は領地支配権を失い、大名から俸禄を受けるようになりました。これにより、家臣団は支配下の領主群から、大名家の奉公集団としての性格を強めていきました。平和な時代になると、武断的な家臣よりも文治的な家臣が重用されるようになり、武士の官僚化が進みました。また、兵農分離が進み、武士は官僚・役人としての性格を強めていくことになりました。

まとめ

家臣団は、時代とともにそのあり方を変えてきました。中世以前は、利害関係に基づく緩やかな主従関係でしたが、戦国時代には、実力主義による家臣の登用が進み、より強固な組織となりました。江戸時代には、主従関係はより絶対的なものとなり、家臣は領主から大名家の奉公集団へと変化しました。このように、家臣団の歴史は、日本の歴史と深く結びついていると言えるでしょう。

関連項目

• - 武士
• - 大名
• - 守護
• - 国人
• - 兵農分離
• - 俸禄制

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