宿利正史

宿利 正史

日本の国土交通官僚として、運輸行政の要職を歴任し、最終的には国土交通省のトップである事務次官を務めた人物です。生年月日は1951年9月29日。

経歴

山口県下関市で生まれ、福岡市や大分県別府市で育ちました。大分県立大分上野丘高等学校を卒業後、東京大学法学部で学び、1974年に卒業と同時に運輸省に入省しました。

入省後は多岐にわたる部署で経験を積みました。1979年には運輸省東京陸運局総務部企画課に勤務し、翌年には内閣官房交通安全対策室で総合調整を担当。交通安全分野における政策立案に関わりました。1982年には運輸省大臣官房環境課で海洋汚染対策室長を務め、環境問題への対応にも従事。1983年には運輸省大臣官房人事課にて外務研修を受け、翌1984年からは外務省に出向し、在インドネシア日本国大使館で一等書記官として勤務、国際的な視点も培いました。

帰国後、1987年に運輸省大臣官房文書課補佐官となり、1989年には同課の専門官として運輸大臣秘書官事務取扱を兼務。同年、地域交通局総務課補佐官として国内の交通政策にも深く関わるようになりました。1990年には運輸省中部運輸局企画部長として地方運輸行政の責任者を務めました。1991年には内閣法制局参事官（第四部）に就任し、法制面からの政策形成に貢献しました。

運輸省に戻ってからは、1995年に鉄道局業務課長、1997年には運輸政策局地域計画課長として、それぞれ鉄道行政や地域の交通計画を担当。1999年には海上技術安全局総務課長を務め、海事分野の行政にも携わりました。2000年には運輸省大臣官房人事課長となり、組織の根幹を支える人事管理の責任者となりました。省庁再編に伴い、2001年からは国土交通省大臣官房人事課長として、新組織の人事体制構築に関与。同年には国土交通省大臣官房審議官（航空局担当）に就任し、航空行政の重要政策に関わるようになりました。

その後も航空局でのキャリアを重ね、2002年には航空局監理部長、2003年には航空局次長を務め、日本の航空行政を推進する役割を担いました。2004年には国土交通省大臣官房総括審議官に就任し、省全体の重要政策の調整役を務めました。2005年には自動車交通局長、2006年には総合政策局長と、主要な局長職を歴任。2007年には国土交通省大臣官房長となり、事務方トップとしての地位を確立しました。

2008年には国土交通審議官に昇進し、広範な政策分野において大臣を補佐。そして、2011年、国土交通省の事務方トップである国土交通事務次官に就任し、日本の国土交通行政全般の最高責任者として手腕を発揮しました。

2013年に国土交通事務次官を退任後、東京大学公共政策大学院の客員教授として交通政策の研究・教育に携わりました。その後も交通関連分野で活動を続け、2014年には一般社団法人国際高速鉄道協会の理事長に就任。2018年からは一般財団法人運輸総合研究所の会長、一般財団法人港湾近代化促進協議会の会長を務めています。2021年には公益財団法人日本海事センターの会長にも就任し、交通・物流分野における幅広い活動を行っています。

不祥事

官僚在任中の行動に関して、再就職等監視委員会による調査が行われ、国家公務員法に違反する行為があったと認定されました。これは2013年3月までに明らかにされています。

監視委員会の認定によると、宿利氏が国土交通審議官であった2011年2月、所管する財団法人である海技振興センターの理事長に対し、同センターの常務理事が間もなく退任するかどうかを問い合わせました。その際、国土交通省の元職員が職を探しているとの情報を理事長に伝達したとされています。さらに、2011年3月には、別の法人である社団法人日本民営鉄道協会の理事長に対し、退任を促す行為があったとされました。

これらの行為は、国家公務員法第106条に定められた、利害関係企業等への再就職に関する規制に抵触すると、再就職等監視委員会によって判断されました。

これらの認定は、官僚の再就職斡旋に関するルール遵守の重要性を示す事例として報じられました。

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