密会〜アムロとララァ

密会〜アムロとララァ

『密会〜アムロとララァ』は、富野由悠季による小説であり、アニメ『機動戦士ガンダム』のストーリーをまとめた作品です。本作は、ララァ・スンを中心に、アムロ・レイと彼女を守るシャア・アズナブルの関係性をドラマティックに描写しています。富野自身が、あとがきでこの小説が将来的に『機動戦士ガンダム』の原典として評価されるだろうと述べていることから、作品の重要性が伺えます。

1997年に角川mini文庫から上下巻として出版された本作は、その後角川スニーカー文庫から全1巻として再刊行されています。表紙のデザインも異なり、mini文庫版では木崎ひろすけが、スニーカー文庫版ではNOCCHIがイラストを担当しました。また、小説のタイトルは表紙では「密会」という表現が使われていますが、背表紙や巻末ではその一部が省略されている点も特徴です。

この小説は、富野がアニメ『機動戦士Vガンダム』から3年ぶりに制作したガンダム作品で、ララァの過去を明らかにすることで多くのファンの注目を集めました。物語は宇宙世紀0079年を舞台にし、地球連邦軍とジオン公国軍の激しい戦闘と、それに巻き込まれたキャラクターたちの運命が描かれます。特に、コミュニケーション手段としてのニュータイプ論も取り入れられており、読み応えがあります。

物語は、娼館から逃げ出した少女ララァ・スンがジオン軍のシャア・アズナブルに見初められ、彼に引き取られるところから始まります。シャアはララァの持つニュータイプとしての才能に期待し、彼女の能力を試すつもりです。一方、アムロ・レイは意図せず連邦軍のパイロットとなり、補給のために寄港したスペースコロニーでララァと邂逅します。

登場人物

• - アムロ・レイ: 物語の主人公。連邦軍の艦船「木馬」に所属するMSパイロットで、戦闘を通じて急速にニュータイプとしての能力が覚醒します。ララァとの出会いが彼の心の変化を促す主要な要素になっています。
• - ララァ・スン: 本作のヒロインで、物語全体の核となる存在です。感受性が豊かでニュータイプとしての才能を秘めた彼女は、シャアに身請けされ、物語の中で大きな役割を果たします。
• - シャア・アズナブル: 「赤い彗星」として知られるジオン軍の若き将校。ララァとの関係を通じて、彼の心情や嫉妬が物語の重要なテーマとなっています。
• - セイラ・マス: 連邦軍のパイロットで、アムロの仲間です。シャアとの意外な関わりが物語に深みを与えます。
• - ブライト・ノア: 木馬の指揮官で、神経質ながらも成長する優秀な指揮官になっていく過程が描かれています。
• - カイ・シデン: 冷静でシニカルな性格のMSパイロット。アムロらとの絡みが緊張感を生み出しています。

本作に登場するモビルスーツや艦艇は、アニメ版と同様の名称で描写されていますが、物語は主にジオン側の視点で進行し、連邦側の機体名はあまり明かされていません。このように『密会〜アムロとララァ』は、人物関係やテーマに新しい視点を加え、ガンダムファンや新たな読者にとって興味深い内容が展開されています。

もう一度検索