角川mini文庫

角川mini文庫について

角川mini文庫（かどかわミニぶんこ）は、1996年から2000年にかけて角川書店が発行した小型文庫です。この文庫は12センチメートルという新書判の半分程度のサイズで、気軽に読書を楽しむための手頃な選択肢として人気を集めました。特に1996年11月27日の創刊からは、価格を200円に設定し、豊富なラインアップを揃えることで、多くの読者に親しまれました。

このレーベルでは、主に以下の5つのジャンルが展開されました。
1. 小説・エッセイ - 書き下ろし作品や角川文庫の既刊から抄録された著作。
2. クラシック - 主に古典作品を再編集し、角川日本古典文庫の抄録を中心にしたもの。
3. ガイド・ミニ知識 - ザテレビジョンや東京ウォーカーなどの編集によるタイトル。
4. モンスターコレクション - 富士見書房から発売されるカードゲームの解説書。
5. 少年・少女向け - 角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫等のライトノベルの外伝作品。

このように、ジャンルごとに多彩なコンテンツが提供され、特に低価格の200円シリーズは多くの若者の間で人気でした。しかし、2000年以降、オールカラーのタイトルやシングルCD付きの作品が500〜1000円で刊行されるなど、価格帯は進化しました。

また、角川mini文庫で出版された作品の一部は後に通常文庫として再刊行されることもあります。例えば、『スレイヤーズ でりしゃす』や『妖魔夜行 まぼろし模型』などがその例です。クラシックの文庫は再編集され、角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスとして新たに発表されることもありました。

販売方法にも工夫が施され、一般的な書店での書棚への陳列は少なかったため、特製の書店備付陳列用ケースを使用し、表紙が見えるように並べられることが多かったです。また、角川mini文庫は書店の買取方式を採用していたため、返品制度がなく、独自の流通方法がありました。この点も、角川mini文庫の特徴の一つと言えるでしょう。

一方で、角川mini文庫のロゴデザインをめぐる訴訟もありました。このロゴは通常の角川文庫で使用される不死鳥のマークとは異なり、羽根をイメージしたものでした。しかし1999年、グラフィックデザイナー2名が、角川書店から出版されたハードカバー『ブラック・ティー』（山本文緒）の表紙デザインから無断で図案が流用されたとして損害賠償を求める訴訟を起こしました。そして2000年に、著作権侵害が認められ、原告の勝訴が確定しました。

このように、角川mini文庫は創刊から短い期間ではありましたが、革新性と独自の発行スタイルで読者を魅了した印象深いレーベルです。

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