富士山 (さくらももこ)

富士山 - さくらももこの「ひとり雑誌」特集

『富士山』は、さくらももこが編集長となり新潮社から刊行された独自のムック・シリーズで、雑誌の形態を模した「ひとり雑誌」として特異な存在を示しました。このシリーズは2000年に創刊され、同年内に第4号までが発行されました。さらに2002年には第5号も登場するなど、注目を集めました。流通的には書籍として扱われ、ISSNではなくISBNが付与されるという特異な位置付けがされていました。

企画の背景とさくらの意向

新潮45別冊の一環として、さくらの独特な視点を生かした「雑誌を作る」という企画が立てられました。彼女は「やるんだったら全部自分でやる」と意気込み、記事の企画から取材、執筆、さらには漫画やイラストに至るまで、ほとんどすべてを自らの手で行いました。このように、さくらの個人的な趣向が色濃く反映された結果、創刊号と第2号の売上は2000年半ばの時点で合わせて68万部に達したと言われています。

作品の内容

『富士山』の内容は、さくら自身の家族へのインタビューや清水の観光地巡りなど、非常に私的な要素が強いものでした。例えば、知人に見合いをさせるシリーズでは、さくららしいユーモアと視点が盛り込まれています。また、著名なゲストがさくらの自宅に訪問するコーナーもあり、第3号ではビートたけしやいっこく堂が登場し、彼らとの面白いエピソードが掲載されていました。

さらに、シリーズには『ちびまる子ちゃん』や『コジコジ』の新作も収められ、さくらの作品を愛する読者にも新たな楽しみを提供しています。特に少女漫画スタイルで描かれた読み切り『マミちゃんの恋』は、多くのファンに支持されました。これらの作品を通じて、さくらももこの多面的な才能が見事に表現されているのです。

エッセイ集との関連

特筆すべきは、さくらが2002年に発表したエッセイ集『さくらえび』や2003年の『またたび』が、『富士山』に連載されていたエッセイを基にしている点です。これらの作品は、彼女の独特の視点や生活観をより広く伝える手段となり、その人気を不動のものとしました。彼女の文章は、日常の中から見出される小さな喜びや発見を描いており、多くの人々に共感を呼び起こします。

発行スケジュール

富士山シリーズは、季刊の形態で、以下のスケジュールで発行されました：

• - 創刊号（2000年1月）
• - 第2号（2000年4月）
• - 第3号（2000年7月）
• - 第4号（最終号）（2000年10月）
• - 第5号（2002年10月）

彼女のひとり雑誌『富士山』は、個人的な経験と感情を元にした内容で、読者と深い繋がりを築くことに成功しました。さくらももこの独特な視点は、今もなお多くの人々に愛され、思い出され続けています。

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