富山地方鉄道クハ170形電車

富山地方鉄道クハ170形電車

富山地方鉄道が運行するクハ170形電車は、同社におけるカルダン駆動車両の制御車として導入され、これまでに多様な形態が登場しています。2020年の時点で、4種類のモデルがあり、そのうち2種類は分割されてクハ173形、クハ175形と正式に名付けられています。現存するのはクハ175形のみとなっています。

クハ171（初代）

初代クハ171は、14770形の制御車として1955年に製造されました。この車両は、両運転台・正面は非貫通で3枚の窓を持つ設計となっており、全長は18メートル、2つの扉があります。1958年には電装され、モハ14772に改造されました。

クハ171（2代）・クハ172

1969年、鉄道の輸送需要が見直されたことにより、10020形の第1編成に含まれていたサハ221および14720形のサハ222が編成から取り外され、これらを元にして先頭車化改造が施されたのがこの2両です。元々先頭車の設計であったため、運転台部分を省略した結果、全長は17.3メートルへと短縮されました。

運用状況

この2両は14720形から分割され、モハ14720形との編成を形成しましたが、方向転換を行わなかったため、編成の向きは逆向きのままでした。

クハ173・クハ174（→クハ173形）

同じく1969年、輸送需要の見直しが行われた際、10020形の第2・3編成からサハ223および224が外され、片運転台制御車として改造されました。この2両は先頭車から運転台を省略し、全長は18.6メートルで、座席数を増やす改良が施されています。これらは増結用として電動車編成に連結され、連結面は細い固定連窓です。

1980年代後半には冷房改造がなされ、当初は特定の編成とのみ冷房運用が可能でしたが、後に電動発電機を搭載し、単独でも冷房を使用できるように改良されました。1995年には形式名が変更され、クハ173形として運用され続けましたが、ワンマン化が進んだため運用機会は減少しています。

クハ175（→クハ175形）

1981年に製造されたクハ175は、片運転台制御車で、増結車としての設計が施されています。この車両は14760形と同じ構造を持ちつつ、運転台側は非貫通の構造で、連続窓となっています。冷房装置が搭載されているため、他の非冷房車両に連結されても冷房列車が維持可能です。

1995年に形式名が変更され、クハ175形として運用が続けられています。2008年時点では増結用として使用されていますが、多くの列車がワンマン化されたため、運用の機会は減少しています。2013年4月からは10020形に連結され、ラッシュ時に活用されていましたが、2019年に10020形が引退した後は14760形との連結運用へと変更されています。

結論

富山地方鉄道のクハ170形電車は、冷房装備の有無や運転台の配置、さらには運用形態において多様性を持つ特徴的な車両です。数世代にわたり、運輸のニーズに応じて進化を遂げてきたことがその魅力を引き立てていると言えるでしょう。

もう一度検索