富山地方鉄道デキ12020形電気機関車

富山地方鉄道デキ12020形電気機関車

富山地方鉄道デキ12020形電気機関車は、富山地方鉄道の重要な一員として1958年に東芝で製造されました。この機関車は、主に黒部川第四発電所の建設に伴う資材輸送を目的として設計されました。自重は30トンと軽量で、設計時にはその将来的な利用も考慮されていました。

このデキ12020形は、元々関西電力の所有であったため、当初の車両には関電と富山地鉄の社紋が施されていましたが、建設工事が完了した後に富山地鉄の正式な所有となり、関電の社紋は取り外されました。このような背景を持つデキ12020形は、地域の発展に寄与してきました。

デザイン面では、デキ12020形の車体は凸形という特殊な形状を採用しており、曲線の多い流麗な外観が特徴です。特に運転席の窓部の傾斜や、ボンネット中央の突起が独特で、他の機関車とは一線を画します。塗色は薄いピンクとグレーのツートンカラーで、富山地鉄の他の電気機関車とは異なる際立ったスタイルを持っています。

技術面に目を向けると、デキ12020形には90kWの電動機が4台搭載されており、制御には電磁空気単位スイッチ式を採用しています。この機関車の台車はTT-53であり、特にその構造が非常に独特です。軸箱はミンデンドイツ式の板バネで支持されており、軸箱上部のバネが斜めに配置されています。このような設計は他にはあまり見られないため、デキ12020形の台車は非常に個性的です。

貨物列車が廃止された後、デキ12020形は主に保線作業などに使用されていますが、動く機会は少なく、通常は稲荷町テクニカルセンターに留置されています。そのため、現在ではその活動は限られており、静かに地域の一歴史的な遺物として存在しています。

このデキ12020形電気機関車は、地域の交通の歴史を感じさせる一台であり、富山地方鉄道における重要な資産です。なお、参考文献には『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』（JTBパブリッシング・寺田裕一）、そして『復刻版私鉄の車両10 富山地方鉄道・加越能鉄道』（ネコ・パブリッシング・飯島巌・西脇恵・諸河久）などがあげられ、さらなる情報を求める方にはお勧めです。

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