富山地方鉄道14750形電車

富山地方鉄道14750形電車

富山地方鉄道14750形電車は、かつて富山地方鉄道に在籍していた電車の一つであり、日本の鉄道史において重要な役割を果たしました。この電車は1948年に日本車輌製造によって4両が製造されました。

車体構造

14750形電車は、当時の運輸省規格に則った長さ18メートル、2扉の車両です。駆動方式は吊り掛け式で、搭載された主電動機は東洋電機製造のTDK-528系で、出力は110kW級です。制御装置も東洋製の電動カム軸制御器を使用しており、両運転台が設けられた半鋼製の車体を持っています。

特に注目すべきは、乗務員扉が引き戸であり、乗務員扉と客用扉の間には戸袋窓が設けられています。後の改修により、モハ14753およびモハ14755はノーシル外板に変更されました。車両の内装は、扉間に固定されたクロスシート、車端部分にはロングシートが配置されていました。

運用歴

14750形電車は、登場当初はモハ1500形及びクハ1050形という形式名でありました。1949年の一斉改番によって、富山地鉄特有のナンバリングシステムに改められ、モハ14750形およびクハ160形となりました。その後、クハ160形も電装され、モハ14751から14755に編入されました。この時期の富山地鉄には、低速・低出力の車両が多かったため、14750形は突出した出力を活かし、宇奈月や立山への勾配の多い路線でその威力を発揮しました。

1958年には、上市方の妻面に貫通扉が新設され、1962年にはブレーキが電磁直通ブレーキに改造されました。この改造により、14750形は他のカルダン車との連結が可能となりました。また、専属の増結車両として2代目クハ160形も使用されるようになりました。

昭和40年代から50年代にかけては、台車の更新が行われ、イコライザータイプからウイングばね台車へと変更されました。外板の張り替えや細かな改造が施され、旧型電車とは思えないほどのアップグレードが行われました。

1984年には、前照灯がシールドビーム2灯式に改造され、再び非貫通型にモデルチェンジされました。

その後の運命

1970年代以降、14710形や14760形の大量導入に伴い、富山地鉄では旧型電車が次々と淘汰されていきましたが、14750形は例外的に生き残りを果たしました。その理由は、高い出力を持ち、単行運転が可能であったこと、またカルダン駆動車との併結ができる柔軟性にありました。

さらに、古典的な吊り掛け駆動でありながらも、ぼちぼちとした改修が続き、40年以上にわたって現役の座を保ち続けました。平成に入っても立山線の特急列車に使用され、「地鉄の主」としての地位を確立しましたが、最終的には1994年までに全車廃車されました。

14750形電車は、その独特の存在感と多彩な機能から、今なお鉄道ファンの間で記憶に残る存在です。

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