富山市公会堂

富山市公会堂について

富山市公会堂（とやましこうかいどう）は、1954年に富山市にオープンした多目的ホールで、約43年間にわたって様々なイベントの場として親しまれていました。公会堂の設立は、戦後の大空襲による影響で公共の施設が不足していたことから始まり、富山市長が主導して建設が企画されました。

建設の経緯

富山市は、戦後の復興とともに大規模な会合や行事を開催する場の整備が求められていました。その背景の中、1953年に富山産業大博覧会が開催されることが決定し、富山市長の富川保太郎が公会堂の建設を市議会に提案しました。設計に採用されたのは松田平田設計事務所で、工事は鉄道工業株式会社が担当しました。起工式は1953年7月に行われ、1954年の4月には公会堂の開場式が挙行されました。

建築概要

この公会堂は鉄筋コンクリート造の4階建てで、一部5階部分を含んでいます。敷地面積1125坪、総工費は約2億6400万円で、当時としては最新の建築技術がなされています。内部には廻り舞台や音響板、オーケストラボックスなどの設備が備えられ、多彩な音楽や演劇の上演が可能でした。また、シネマ・スコープ映写機も導入され、映画上映も行えるようになりました。

イベントと使用状況

開館以降、公会堂は大小さまざまなイベントで賑わい、多くの著名なアーティストが公演を行いました。坂本九やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、サザンオールスターズなどが公演を行い、劇団民藝による演劇公演も数多く催されました。1987年から1989年には、富山市立富山外国語専門学校が暫定的に利用し、地域の文化活動の中心として機能していました。

改修と閉館

1982年から1983年にかけて大規模な改修工事が実施されましたが、1989年には老朽化のため改築が決定されます。新たに計画された公会堂は、富山駅北に移転し、富山市芸術文化ホールとして新しく生まれ変わりました。1997年3月31日に最後の公演が行われ、その後公会堂は閉館、解体へと進みました。

文化的意義

富山市公会堂はその存在を通じて、地域の文化や芸術活動の発展に寄与しました。また、新しい公会堂の開館によって地域全体の文化振興がさらに促進されることとなり、その役割を次世代に引き継いでいくこととなりました。1999年には、その跡地に全日空ホテル（現在のANAクラウンプラザホテル富山）が開業することで、地域開発も進みました。富山市公会堂は地域の歴史的一部として、その足跡を刻んでいます。

もう一度検索