富山市天文台

富山市天文台

富山市天文台は、富山県富山市三熊に位置していた、富山市科学博物館の付属公開天文台でした。本館である富山市科学博物館が市街地に位置するのに対し、天文台は郊外に設けられていました。

歴史

初代天文台は1956年に呉羽山に開設され、全国でも3番目に古い公開天文台でした。当時としては国内有数の口径40cm反射式天体望遠鏡や、口径25cmのシュミットカメラなどを備え、天体撮影の分野で先駆的な役割を果たしました。しかし、都市化による周辺の明るさや、施設の老朽化により、より郊外の「とやま古洞の森自然活用村」内に新たな天文台が建設されることになりました。

1997年7月19日に開館した新天文台は、鉄筋コンクリート造りで、開館当時日本最大級の口径100cm反射式天体望遠鏡を誇りました。この望遠鏡は、17等星まで観測可能で、コンピューター制御による自動追尾機能を備えていました。

なお、初代天文台で使われていた口径40cm反射式天体望遠鏡は、1954年に富山産業大博覧会で展示された後、富山市役所屋上を経て、初代天文台に移設されたという経緯を持っています。

長期休館から廃止へ

2018年9月、天文台は台風の影響で遊歩道が陥没し、長期休館を余儀なくされました。遊歩道は2020年3月に復旧したものの、今度は天体望遠鏡の自動追尾機器の故障が発覚し、修理に多額の費用がかかることが判明しました。

さらに、富山市教育委員会が新しい天文台の建設計画を発表したことも、既存施設の修理をためらわせる要因となりました。これらの理由が重なり、天文台の再開は困難となり、2020年12月8日に富山市は天文台を廃止する方針を決定しました。年間来館者数がピーク時の半分以下に減少していたことも、廃止の理由の一つとされています。

天文台は2021年3月31日に正式に廃止されましたが、富山市教育委員会は、城南公園または富山城址公園に代替施設を設置する計画を立てています。

設備

天文台の主な設備は以下の通りでした。

天体観測室（4階）

口径1.0m反射式天体望遠鏡：ナスミス式の光学系を持ち、冷却式CCDカメラ、分光器、カラーCCDビデオカメラなどの観測装置が搭載されていました。コンピューター制御により、星の選択、焦点合わせ、自動追尾が可能で、2人で同時に観測できる接眼部がありました。

展示室など

星空の部屋（1階）：ドーム型の屋根に約2,400本の光ファイバーを使用し、星空を再現していました。職員による解説が行われていましたが、プラネタリウムではないため星は動きませんでした。
天文展示コーナー（2階）：本物の隕石に触れたり、ビデオで惑星を紹介したり、コンピューターを使って天文について学べるコーナーでした。
野鳥観察コーナー（2階）：天文台が「とやま古洞の森」内にあるため、双眼鏡を使って約80種の野鳥を観察できました。
屋上（3階）：天体観測会や七夕会などのイベントが開催されていました。

開館時間と観覧料

開館時間は曜日によって異なり、日曜日から火曜日は午前10時から午後5時30分まで、水曜日から土曜日は午後1時から午後9時30分まででした。休館日は年末年始で、臨時休館の場合もありました。

観覧料は大人210円、高校生以下と市内在住の70歳以上は無料でした。土曜日はカップル無料となる制度もありました。

アクセス

公共交通機関を利用する場合は、あいの風とやま鉄道呉羽駅から呉羽いきいきバスに乗り、古洞の森バス停で下車後、徒歩約20分でした。自家用車の場合は、無料駐車場から徒歩約12分でした。

脚注

富山市天文台
富山市科学博物館
富山市郷土博物館 博物館だより第四号
富山県博物館協会

関連項目

富山市科学博物館
天文台
公開[[天文台一覧]]
* プラネタリウム

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