富澤純一

富澤 純一（とみざわ じゅんいち）

富澤純一（1924年6月24日 - 2017年1月26日）は、日本を代表する分子生物学者で、国立遺伝学研究所および総合研究大学院大学の名誉[[教授]]です。彼は東京都で生まれ、日本の分子生物学の初期において重要な役割を果たしました。特に、RNAによるDNA複製の制御を発見したことで広く知られています。

経歴

富澤は1947年に東京帝国大学医学部薬学科を卒業し、同年4月から国立予防衛生研究所で勤務を開始しました。その後、1956年にはアメリカのカーネギー研究所に招かれ、RNAの構造と機能に関する研究を進めました。1957年には東京大学から薬学博士の学位を取得し、その後もMITのCyrus Levinthalの研究室で遺伝暗号の研究に取り組みます。

1961年に帰国後、国立予防衛生研究所化学部長に就任し、分子遺伝研究のグループを組織しました。また、金沢大学医学部で「ファージ講習会」を開催し、分子生物学の普及にも尽力しました。1966年には大阪大学理学部生物学科の教授に就任し、1968年からは専任教授として研究を行い続けました。

大学の状況が変わる中、1971年にはアメリカ国立衛生研究所に転職し、分子遺伝学部門の部長として新たな研究に従事，1989年からは国立遺伝学研究所の第6代所長として活躍し、同時に総合研究大学院大学の教授としても指導を行いました。

業績と受賞歴

富澤は1996年に日本分子生物学会の英文学会誌であるGenes to Cellsの創刊に携わり、初代編集長を務めるなど、学術界での影響力も大きいです。彼の研究は、RNAを中心にした遺伝子の複製機構に光を当て、多くの研究者に新たな視点を提供しました。

彼は数多くの賞を受賞しており、日本遺伝学会賞や朝日賞に加え、アメリカ芸術科学アカデミーの外国人名誉会員や日本学士院の会員にも選出されています。特に彼の朝日賞受賞の理由には、RNAによる複製制御の発見が挙げられています。

教育と助成制度への貢献

2011年には故・桂子夫人の遺志を受け、「富澤純一・桂子基金」を設立し、若手研究者に対する研究助成制度を開始しました。この制度は、生命科学の研究に情熱を持ちながらも資金不足に悩む若手研究者を支援するもので、日本においてユニークな取り組みとされています。

最後に

富澤純一はその業績や教育面での貢献により、日本の分子生物学研究の礎を築いた重要な人物として評価されており、多くの後進を育てています。彼の研究と助成活動は、今後も日本の科学界に大きな影響を与え続けることでしょう。

もう一度検索