富隈城

富隈城（とみくまじょう、とみのくまじょう）

富隈城は、鹿児島県霧島市隼人町住吉の浜之市地区に位置する、安土桃山時代末期に築かれた日本の城です。現在は霧島市の指定史跡となっています。

歴史

文禄4年（1595年）、豊臣秀吉によって隠居を余儀なくされた島津義久は、それまで居城としていた内城を離れることになりました。その際、薩摩国と大隅国の境に位置し、港に近いこの地に急遽屋形を築いたのが、富隈城の始まりです。

通常、島津氏の城は背後に山城を構えるのが一般的でしたが、富隈城にはそのような山城は存在しません。このことから、秀吉に恭順の意を示した、あるいは秀吉から圧力をかけられたという説があります。城の規模は南北約250メートル、東西約150メートル、高さ約30メートルで、かつては堀があったとも言われていますが、防御面では非常に脆弱な城でした。

慶長9年（1604年）、島津義久は隣接する国分に新たに国分城を築き、そこへ移ったため、富隈城は廃城となりました。

義久は不本意ながらこの地に移ったとされていますが、在城した短い期間に城下の浜之市港を整備し、商人たちを呼び込みました。その結果、江戸時代には坊津や山川と並ぶ、薩摩藩内で有数の港として栄えることになりました。義久は、この地での開発を国分でも継続しており、富隈城は実験的な城下町としての側面も持っていたと考えられています。

現在

現在、富隈城には石垣のみが残っており、北側は公園として整備されています。南東隅の石は、加藤清正が寄進したものと伝えられています。

特徴

立地: 薩摩と大隅の国境に位置し、港に近い。
構造: 裏山に山城を持たない、平城。
防御: 防御機能が低い。
役割: 短期間ではあったが、港町発展の基礎を築いた。

関連項目

* 日本の城一覧

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