富雄丸山古墳

富雄丸山古墳

富雄丸山古墳（とみおまるやまこふん）は、奈良県奈良市に位置する古墳で、円形の墳丘を持つ巨大な遺構です。全国的に見ても最大規模の円墳であり、その歴史的な価値と出土品の重要性から、関心を集めています。

概要

奈良盆地の北部、富雄川の右岸に築かれたこの古墳は、古墳時代前期後半の4世紀後半頃に作られたと考えられています。墳形は円形で、直径は109メートルにも達し、いくつかの段に分かれた墳丘を形成しています。古墳はこれまで盗掘を受けた経緯がありましたが、その後1972年に発掘調査が行われ、さらに近年には奈良市教育委員会による整備調査が進められています。

古墳の外観には葺石や埴輪片が見られ、墳丘の北東側には造出が存在します。最も注目すべき点は、中央に位置する埋葬施設で、粘土で造られた槨の中に割竹形の木棺があったとされています。

出土品には、石製品や鍬形石、銅製品などさまざまな遺物が含まれ、特に伝出土品として三角縁神獣鏡が3面見つかっています。これらは現在、天理大学附属天理参考館に所蔵されており、重要な文化財として認識されています。特に1957年に指定されたこれらの品々は、国の重要文化財に位置付けられています。

歴史

富雄丸山古墳は、その歴史的背景から明治時代には盗掘被害に遭い、貴重な副葬品が失われました。1972年と1982年に行われた調査により、墳丘の測量や埋葬施設の探索が行われ、出土品の詳細が明らかになっていきました。2017年以降、定期的に発掘調査が行われ、2018年度からの整備調査では、新たな埋葬施設の発見が報告されています。

特に2023年1月には、国内最大の蛇行剣やかつてない形の盾形銅鏡が発見され、その重要性が改めて強調されました。これらの出土品は古墳時代の工芸技術を示すものとして高く評価されており、地域振興の一環として商標登録もされています。

文化財

国指定の重要文化財には、古墳から出土した品が含まれ、その明細は多岐にわたります。斧頭形や刀子形の石製品、鍬形石、様々な銅製品など、文化財としての価値を持つ多くの遺物が京都国立博物館に保管されています。また、三角縁神獣鏡は国の重要美術品として評価され、多くの研究者や歴史愛好家の興味を引いています。

このように富雄丸山古墳は、古代の人々の生活や文化、信仰を知る上で大変貴重な遺構であり、現代においてもその価値は衰えることなく、多くの方々に親しまれています。今後の調査や発見が期待され、さらに文化財としての保護と利用が図られることが望まれます。

もう一度検索