寒風山トンネル

寒風山トンネル：四国を繋ぐ長大トンネル

寒風山トンネルは、国道194号における高知県吾川郡いの町と愛媛県西条市を結ぶ、寒風山直下を貫通するトンネルです。このトンネルは、国道194号寒風山道路（全長6.4km）の大部分を占めており、四国地方における最長の道路トンネルとして知られています。旧寒風山トンネル（寒風山隧道）と区別するため、新寒風山トンネルと呼ばれることもあります。

概要

本坑の全長は5,432メートルで、高知から愛媛方面へ3.45%の下り勾配を持つ片側1車線のトンネルです。特筆すべきは、歩行者や自転車も通行可能であるトンネルとしては、日本国内で最長である点です。

寒風山トンネルが開通する以前は、標高1,120m地点に位置する全長945mの寒風山隧道（1964年7月開通、照明設備なし）が、自動車の通行可能な唯一の道路でした。

1964年の寒風山隧道の開通は、長年望まれていた予土連絡を実現するもので、翌1965年には国道194号に指定されました。しかし、旧道は急峻な山岳道路であり、道幅も狭く、冬季には100日間も通行不能になるなど、瀬戸内海側との交通を十分に機能させているとは言えませんでした。

1972年度から四国地方建設局によって高知県本川村（現いの町） - 愛媛県西条市間の調査が開始され、1978年に事業化、1981年に着工しました。しかし、1982年10月には愛媛県西条市藤之石で大規模な地すべりが発生し、工事用道路が埋没、現道も通行不能となる事態に見舞われました。

1986年度に設計が見直され工事が再開、1988年10月にトンネル本体工事が起工、1996年11月に貫通し、1999年4月に道路が開通しました。

新トンネルの開通により、所要時間は従来の約50分から約10分に短縮され、積雪による交通への影響もほとんど解消されました。

なお、トンネルの長さが5,000mを超えるため、法令で定められた危険物などを一定量以上積載した車両は通行できません（車両総重量10トン程度までであれば旧寒風山トンネルでの迂回が可能ですが、冬季の凍結時には通行止めとなる期間があります）。

沿革

1978年4月：建設省（現国土交通省）の直轄事業として着手
1981年9月：愛媛県側で工事用道路の工事着手
1982年10月5日：愛媛県側工事用道路で大規模地すべり発生
1986年：ルート変更後、工事用道路の工事に着手
1988年10月：建設省（現国土交通省）の直轄事業として本体工事が開始
1989年2月：愛媛県側作業坑の掘削工事に着手
1990年1月：愛媛県側本坑の掘削工事に着手
1992年6月：高知県側作業坑の掘削工事に着手
1992年8月：高知県側本坑の掘削工事に着手
1994年10月3日：作業坑が貫通
1996年11月21日：本坑が貫通
1999年4月17日：一般供用を開始

路線データ

構造規格：第3種 第3級
設計速度：60km/h
長さ：5,432m
道路幅員：9m
車線幅員：3.25m
車線：片側1車線

寒風山隧道（旧寒風山トンネル）

寒風山トンネルの手前にある旧道、西条市道加茂24号線といの町道一の谷寒風線を繋ぐトンネルです。UFOラインや伊予富士など、周辺の観光スポットへのアクセスに利用されており、旧トンネルも引き続き使用されています。高知側の出口付近には、観光客向けの駐車場と広場が整備されています。

関連項目

四国地方の道路一覧
延長別日本の道路トンネルの一覧
伊曽乃神社 - トンネル掘削時の岩塊が県境到達記念として奉納されています。
無料で通行できる長さ5km以上のトンネル
あつみトンネル
栗子トンネル
* オオヌマトンネル

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