伊曽乃神社

伊曽乃神社は、愛媛県西条市中野に位置する、由緒ある神社です。式内社であり、かつては国幣中社に列せられ、現在は神社本庁の別表神社となっています。地元では「いそのじんじゃ」と呼ばれ、神紋には「御所車」が用いられています。

祭神

伊曽乃神社の祭神は、以下の二柱です。これらを総称して「伊曽乃神」と呼びます。

天照大神の荒魂：皇室の祖神として知られる天照大神の荒々しい側面を神格化したもの
武国凝別命：景行天皇の皇子であり、東予地方を開拓したとされる神

社伝によれば、元々は天照大神の荒魂のみが祀られていましたが、後に武国凝別命が加えられ、現在の二柱となりました。本殿内陣の中央には天照大神が、その左には武国凝別命が祀られています。

歴史

創建

社伝によると、伊曽乃神社の創建は、第13代成務天皇の時代にまで遡ります。景行天皇の皇子である武国凝別命が、東予地方を開拓する際に、皇祖神である天照大神を祀ったのが始まりとされています。武国凝別命は、伊勢国から天照大神の分霊を奉じて伊予に渡り、現在の西条市朔日市にある御船森に上陸したと伝えられています。

古代

孝徳天皇の時代には、この地域が「神野郡」と命名されました。これは、伊曽乃神社などによって神が祀られ、地域が「神の地」と呼ばれていたことに由来するとされています。

文献では、『続日本紀』に天平神護2年（766年）に「伊曽乃神」が従四位下の神階を授けられた記録があります。また、『新抄格勅符抄』には、当時、伊曽乃神社には15戸の神戸が充てられていたことが記されています。その後、貞観年間には、神階が正四位下、正四位上、従三位と昇叙されました。

延長5年（927年）に編纂された『延喜式』神名帳には、「伊曽乃神社名神大」と記載されており、名神大社として朝廷から特別な扱いを受けていたことがわかります。

中世

永治元年（1141年）には正一位に叙され、崇徳天皇から勅額を賜ったと伝えられています。

近世

天正13年（1585年）には、豊臣秀吉の四国征伐によって社殿や社宝が焼失し、土佐国へ一時的に遷座しましたが、慶長11年（1606年）に旧地に復座しました。

近代

近代社格制度の発足時には、祭神不詳として官社の認可を受けられず、伊予国第一県社とされました。しかし、昭和15年（1940年）に長年の昇格運動が実り、国幣中社に昇格しました。

近年では、「ISOの神社」という語呂合わせから、ISO取得や永続を祈願する人が訪れるようになりました。

境内

境内には、以下のような施設や見どころがあります。

一ノ鳥居：石製で、石鎚の神の投げ石が右にあります。
二ノ鳥居：銅製です。
石柱門
神門前：だんじりの引廻しが行われます。
拝殿：本殿は東向きですが、参道は市街地からの入口に面しており、参道と本殿の向きが直角になっています。
本殿：昭和15年に建築された、総檜の神明造りです。
木花開耶姫命像：大山祇神の次女である木花開耶姫命の像です。
神輿庫：大人神輿と子供神輿が収納されています。
社叢：境内のクスノキは、樹齢700年と推定され、西条市名水名木50選に選ばれています。
宝物館：入館料が必要です。
伊曽乃文庫
斎館
句碑：小林一茶の句碑などがあります。
駐車場：大駐車場がありますが、例大祭時は使用不可です。

摂末社

境内には、以下の摂末社があります。

古茂理神社：木花之佐久夜毘賣命を祀っています。
天満神社：菅原道真などを祀っています。
遥拝社：加茂・神戸両郷内諸社を遥拝するための場所です。
三社：山王神社、厳島神社、妙見神社です。
瑞枝神社：祖霊や久門家祖神を祀っています。
鎮守神社（又野神社）：村上平兵衛、高橋孫兵衛、高橋彌一左衛門を祀っています。
御先神社：猿田毘古神を祀っています。

境外

伊曽乃宮　お旅所：例大祭の際に神輿がとどまる場所で、だんじりも集まります。
下福古墳の遺石：かつて古墳の天井だったとされる大石があります。

文化財

重要文化財

与州新居系図凝然筆：鎌倉時代の古系図で、伊予地方の豪族である新居氏の系図を、凝然が書写したものです。「日本三大古系図」の一つとされています。

市指定有形文化財

伊曽乃大社祭礼絵巻：伊曽乃神社の祭礼を描いた絵巻です。

例大祭

伊曽乃神社の例大祭は、10月15日と16日に行われます。77台のだんじり、4台のみこしが奉納され、その規模は全国最大級と言われています。特に、16日の夕刻に行われる、神輿が川を渡るのをだんじりが阻む「川入り」は、祭りのクライマックスです。

伝承

地元の伝説によると、伊曽乃の女神と石鎚山の男神が恋仲になり、男神が山頂から投げた三つの石のうち、真ん中の石が落ちた場所に伊曽乃神社が建てられたと伝えられています。

著名な参拝者

小林一茶：寛政7年（1795年）に参拝し、句を詠んでいます。
昭和天皇：昭和25年（1950年）に参拝されました。
浩宮徳仁親王（今上[[天皇]]）：昭和57年（1982年）に参拝されました。
* 天皇御夫妻（現在の上皇御夫妻）：平成29年（2017年）に参拝されました。

伊曽乃神社は、その歴史と文化的な価値から、多くの人々に親しまれている神社です。豪華絢爛な西条祭りは、一見の価値があります。

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