寛美の落語紳士録

寛美の落語紳士録（かんびのらくごしんしろく）

『寛美の落語紳士録』は、昭和40年（1965年）の年明けから春先にかけて、全国のNETテレビ（現在のテレビ朝日）系列局で放送された日本のテレビドラマです。上方喜劇界を代表する俳優の一人であった藤山寛美を主演に迎え、毎日放送が企画・制作を手がけたコメディ作品として知られています。

この番組は、1965年1月9日に放送を開始し、同年4月3日までの短期間、全13回にわたって毎週届けられました。放送時間は毎週土曜日の夜7時30分から8時までの30分間、日本の標準時で行われました。当時のこの時間帯は、建材メーカーである永大産業が一社提供する番組枠であり、『永大アワー』という冠タイトルが付けられていました。『寛美の落語紳士録』も、この『永大アワー』の中でオンエアされました。

主演の藤山寛美に加え、番組タイトルにも冠されているように、落語家が多数出演していたのが大きな特徴です。当時の上方落語界の重鎮であった六代目笑福亭松鶴をはじめ、森乃福郎、小島慶四郎、髙田次郎といった面々が名を連ねています。これらの顔ぶれから、単なるホームコメディや職場コメディといった枠に留まらず、落語家や芸人の世界、あるいはそこに関わる人々を題材にした人情味あふれる喜劇が展開された可能性が考えられます。藤山寛美の卓越した喜劇芝居と、落語家たちの個性的なキャラクターがどのように絡み合ったのかは、番組が現存するかどうかや詳細な記録が少ないため、現代においては具体的な内容を知る手掛かりは限られています。

脚本は三田純一が担当しました。当時のテレビドラマは生放送であったり、現在ほど多くの番組がVTRなどで記録・保存されていなかったりするため、この『寛美の落語紳士録』の詳細な物語や演出、評判などについても、現存する資料は限定的である可能性が高いです。

1960年代半ばは、テレビが家庭に普及し、多種多様なドラマや演芸番組が制作・放送されていた時代です。そうした中で、上方喜劇界と上方落語界の人気実力者が集結したこの作品は、当時の関西圏を中心に、視聴者に親しまれたものと推測されます。短い放送期間ではありましたが、当時のエンターテインメントの一端を担った番組と言えるでしょう。

現在、『寛美の落語紳士録』に関する情報は、主に当時の放送記録や関係者の証言、そしてテレビドラマのデータベースなどに散見される程度です。特に映像資料が残されているかは不明であり、幻のテレビドラマの一つとなっている可能性も否定できません。昭和の上方演芸史やテレビ史を研究する上で、その存在は貴重な手がかりとなります。

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