寝台特急殺人事件

『寝台特急殺人事件』は、西村京太郎による長編推理小説であり、1978年に光文社から刊行されました。本作は、西村京太郎の鉄道ミステリーシリーズの記念すべき第1作として知られています。

ストーリー

週刊誌『週刊エポック』の記者である青木康二は、人気の寝台特急の秘密を探るべく、東京駅発西鹿児島行きの寝台特急「はやぶさ」に乗り込みます。車内で見かけた薄茶色のコートを着た女性に興味を持ちますが、相手にされません。その後、食堂車で再びその女性と出会いますが、すぐに席を立ってしまいます。代わりに弁護士の高田悠一と相席になりますが、寝台に戻ろうとした際、カメラからフィルムが抜き取られていることに気づきます。高田を問い詰めますが、彼は否定。青木は仕方なく寝台に戻ります。

翌朝、青木は自分が乗っている列車が「はやぶさ」ではなく、別の寝台特急「富士」であることに気づき、さらに隣の部屋にいたはずの女性と高田が別人に入れ替わっていることに気づきます。異変を感じた青木が車掌室へ向かおうとすると、何者かに襲われ昏倒。その後、多摩川で薄茶色のコートを着た女性の溺死体が発見されます。

主な登場人物

十津川省三：警視庁捜査一課の警部。鋭い洞察力で事件の真相に迫ります。
亀井定雄：十津川の部下。
青木康二：『週刊エポック』の記者。事件に巻き込まれていきます。
田久保涼子：薄茶色のコートを着た謎の女性。物語の鍵を握る人物。
高田悠一：弁護士。「はやぶさ」の車内で青木と出会います。

映像化

本作は、これまで2度テレビドラマ化されています。

1979年版：『西村京太郎トラベルミステリー1・ブルートレイン・寝台特急殺人事件』として、土曜ワイド劇場で放送。三橋達也が主演を務めました。
* 2009年版：『十津川警部シリーズ41・寝台特急（ブルートレイン）殺人事件』として、月曜ゴールデンで放送。渡瀬恒彦が主演を務めました。この作品は、東京駅発の最後のブルートレイン「富士・はやぶさ」の廃止を記念して制作されました。

『寝台特急殺人事件』は、鉄道ミステリーの傑作として、今も多くの読者に愛されています。寝台特急という閉鎖された空間で繰り広げられる複雑な人間関係、巧妙なトリック、そして旅情を掻き立てる描写が、読者を物語の世界へと引き込みます。

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