寝屋川車庫

寝屋川車庫

寝屋川車庫は、大阪府寝屋川市に位置する京阪電気鉄道が保有する最大の車両基地です。京阪本線の萱島駅と寝屋川市駅の間に広がり、車両の検査・修繕を担う寝屋川車両工場が併設されていることから、「寝屋川車両基地」とも呼ばれています。京阪電鉄の日常の安全運行を支える基幹施設であり、ファミリーレールフェアでの一般公開も行われています。

約7万平方メートルの広大な敷地を持ち、5本の検査ピットと43本の留置線により、最大340両の車両を収容できる能力は京阪随一です。線路配置は引き上げ線を中心に扇状に展開し、全般検査をはじめとする重要な保守作業が行われます。環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001認証を2001年に関西の車両検査施設として初めて取得するなど、環境面への配慮も行われています。

この施設の歴史は、1958年12月に「萱島車庫」として開設されたことに始まります。当初は小規模でしたが、車両の長編成化などに対応するため順次拡張が進められ、1963年には主要な車両基地としての基礎が完成しました。1964年1月には日本初の自走式洗車機が導入され、同年6月には現在の「寝屋川車庫」に改称されています。1967年には守口車庫からの検査業務の一部移管を受け、1972年に寝屋川車両工場が完成したことで、守口車庫の機能が全て移転し、京阪の車両保守の中心的な役割を担うこととなりました。同時期には本線高架化に伴う入出庫線の立体交差化も実現。その後も設備近代化や寝屋川市駅付近高架化に伴う入出庫線の高架化などが行われました。2009年には「寝屋川車両基地」として大阪府の大阪ミュージアムにも指定されています。

車庫への入出庫線は、京阪本線の大阪方面・京都方面それぞれに接続しており、寝屋川信号場構内に含まれます。大阪方面への線路は複線、京都方面へは単線で、京都方面は高架線となっています。敷地内には、車両の運用に必要な電力を供給する変電所が設けられており、無人で遠隔制御されています。

敷地内には、営業用ではないものの特徴的な車両が存在します。構内の車両移動に使われる入換車は、京津線70型を改造したもので親しまれています。また、訓練用として旧2000系改造の2600系先頭車2両が「教材車」として使用されており、京阪線で唯一の旧一般塗装を保つ貴重な車両です。その他、60型「びわこ号」や2代目1800系の前面カットモデル、各種台車などの保存車両も保管されています。

寝屋川車庫は、鉄道車両だけでなく、系列のひらかたパークの遊具保守・点検の一部も担っています。これは鉄道で培われた技術力の応用例と言えます。残念ながら、2024年8月には車両工場内で作業中の事故により男性作業員が亡くなるという痛ましい出来事が発生しています。

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