實川清之

實川清之の生涯と政治キャリア

實川清之（じつかわ きよし）は、1903年10月6日に千葉県で農家の子として誕生しました。彼はその後、日本の政治家として知られるようになります。実川の父、伊三郎は村の信用組合や議会議員などの職に就いていましたが、彼の幼少期に肺結核で亡くなりました。家計は厳しく、実川の家族は経済的に苦難を抱えていました。

彼は千代田尋常高等小学校を経て、成田中学校に進学しましたが、3年生の時に生徒によるストライキに関与し、退学となってしまいます。後に日本大学中学校に転入したものの、身体検査に抗議して停学の処分を受けました。その後、1922年に中学を卒業し、日本大学法文学部に進学しますが、社会主義運動に積極的に参加し、農民組合の結成や軍事教練に反対する活動を行いました。1926年には治安維持法違反で逮捕され、大学を中退することになります。

中退後には千葉県佐倉町に移住し、農民運動に従事しながら日本共産党に加入しますが、1928年には三・一五事件で再び逮捕されます。その後も四・一六事件で懲役6年の刑を受け、出所後は農業に従事しますが再度の逮捕を受けます。商売の行き詰まりから満蒙開拓に取り組む決意を固め、満州での仕事に携わりますが、戦後は帰国し政治の道を歩むことになります。

1947年には千代田村の村長に当選し、「赤い村長」としてメディアに取り上げられます。1951年には日本社会党に加入し、1958年の衆議院議員総選挙では初めて当選を果たします。以降、衆議院で4期にわたって議員活動を行い、日本社会党千葉県委員長などを歴任しましたが、1969年の選挙で落選。1971年には千葉県知事選挙に挑戦しますが、再び失敗を喫しました。

1973年、彼は山武農業協同組合の初代組合長として就任し、業界の発展に寄与しました。1974年にはその功績が認められ、勲二等瑞宝章を授与されることになります。1980年には千葉県がんセンターで息を引き取りました。

政治活動と思想

實川は学生時代に読んだピョートル・クロポトキンの『相互扶助論』に感銘を受けており、これが彼の社会主義運動への関心を高める要因となりました。特に、三里塚闘争の初期には、地元議員と共に新東京国際空港建設の反対運動に参加し、社会党の議員として積極的な活動を展開しました。彼は農家の立場から反対を貫き、「農家を犠牲にするわけにはいかない」と語ったと言われています。実川は、その後の三里塚闘争の幕引きを図るなど複雑な立場に立ち続けました。

實川清之は、その生涯を通じて戦後日本の政治シーンに多大な影響を与えた政治家であり、社会運動にも深く関与した人物でした。彼の行動や思想は、当時の日本の農民や労働者たちにとって大きな意味を持つものであったと言えるでしょう。

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