寧昌路

寧昌路の歴史と背景

寧昌路（ねいしようろ）は、中国内モンゴル自治区通遼市周辺に位置し、かつてモンゴル帝国及び大元ウルスの時代に設置されていた重要な地域です。この地域は、特にイキレス部族の主な遊牧地とされ、彼らの文化や生活スタイルが息づいていました。

建国の功臣と寧昌路の形成

この地名は、チンギス・カンの統治下での情勢に深く関与しています。モンゴル帝国の形成期、特に金朝への遠征において、左翼軍を率いる国王ムカリが遼東・遼西地方の攻略を任されました。この任務にあたったイキレス部族の長、ブトゥ・キュレゲンは、ムカリの指揮の下で遼西地方を成功裏に攻略し、その結果、彼には華北の冠州と遼東の懿州という二つの州が与えられました。これにより、寧昌周辺はイキレス部族の領土として確立しました。

寧昌郡王の誕生

1286年（至元22年）、ブトゥの子孫、デレケイの息子ソゲドゥが「寧昌郡王」の位を授けられたことが記録されています。この出来事は地域の権力構造において非常に重要でした。その後、デレケイの家系が「寧昌郡王」の称号を持ち続けることとなり、地域支配の象徴としての役割を果たしました。さらに、1318年（延祐5年）には、初めて寧昌府が設置され、その4年後には寧昌路が正式に設置されました。

記録の不足

しかし、その後の寧昌路に関する詳細な記録は極めて少なく、歴史的な文献においても不明な点が多く残されています。これにより、寧昌路の役割や影響力についての理解は限られたものとなっています。

管轄県

寧昌路の下には、当時唯一の行政区画として寧昌県が設置されていました。この県は、地域経済や社会生活の中心地として機能し、イキレス部族やその他の住民にとって重要な拠点となりました。

参考文献

寧昌路の詳細な歴史を理解するためには、いくつかの歴史的文献が役立ちます。日本の歴史学者、箭内亙の著作『蒙古史研究』（1930年）や和田清による『東亜史研究(蒙古篇)』（1959年）などが挙げられます。これらの文献は、モンゴル帝国の歴史や文化を探求する上で貴重な情報を提供しています。

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