寶山左衛門 (四代目)

四代目宝山左衛門の業績と人生

四代目宝山左衛門（たから さんざえもん）、本名は若林英次。1922年1月5日、東京市芝区宇田川町に生まれ、2010年8月7日に亡くなりました。彼は長唄囃子方、篠笛の演奏家、さらには作曲家として多彩な才能を発揮し、福原流の六代目宗家としても知られています。また、東京芸術大学の客員教授や国立劇場養成所の講師を務めたこともあり、後進の育成にも尽力してきました。

幼少期からの音楽的背景

宝山左衛門は、五代目福原百之助の跡取りとして生まれ、母も長唄の師匠であったため、幼少期から芸に親しみながら育ちました。1939年には旧制日本大学中学校を卒業。非常に早い段階から音楽教育を受け、特に囃子や篠笛に対する関心を深めていきました。

戦争と音楽界の復興

第二次世界大戦中、彼は駆逐艦の建造に従事しましたが、戦後は邦楽界の再興に力を注ぎました。1940年には福原英次の名で活動を再開し、1964年に六代目百之助を襲名。このように彼は常に日本の伝統的な音楽と密接な関係を持ちながら、自身の道を切り開いていきました。

1981年には長唄協会の理事に就任し、1983年には紫綬褒章を受賞。1992年には空白だった歌舞伎囃子方の名跡を継ぎ、四代目宝山左衛門として活動を行いました。さらに、1993年には人間国宝に認定され、その後も様々な名誉を受けることになります。2010年に老衰のため亡くなるまで、彼の音楽活動は続きました。

音楽と教育の融合

彼は囃子方として福原流小鼓や太鼓の指導も行っていましたが、特に篠笛の演奏に重きを置いた活動を推進しました。宗家としての業務に加え、東京芸術大学や国立劇場養成所で教鞭をとり、多くの後進を育成。また、各地でのセミナーやリサイタルを通じて篠笛の普及活動にも尽力しました。

五代目が着手した篠笛音譜および楽器の改良をさらに進め、唄用篠笛の開発に成功しました。1945年には日本初の篠笛独奏曲を発表し、篠笛の作曲にも積極的に取り組みました。

著書とメディア

宝山左衛門の著書には『篠笛教科書』や『篠笛入門』、さらには『横笛の魅力』や『横笛と私』といったタイトルがあります。また、彼は小泉文夫とともに五代目の共有した「黒美寿」の出版にも関わっています。

音楽作品としては、1997年に『笛のこころ』、2001年には『笛による日本の抒情歌』をリリースし、2002年からは子ども向けの作品や第二集も発表。これらの作品は全てビクター伝統文化振興財団からリリースされています。

まとめ

四代目宝山左衛門は、長唄囃子方としての活動はもちろん、篠笛の演奏家としても名を馳せ、邦楽界に多大な影響を与えました。彼の業績や教育活動は、後世に受け継がれ、今後の音楽界にとっても大切な遺産となるでしょう。

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