寺前巌

寺前巌（てらまえ いわお）は、1926年2月20日に生まれ、2020年6月6日に94歳で亡くなった日本の政治家です。日本共産党の名誉役員を務めました。

生い立ちと初期のキャリア

北海道夕張市出身の寺前は、京都青年師範学校（現在の京都教育大学）を卒業後、国鉄の機関士として社会人生活をスタートさせました。その後、政治の世界へと転身し、京都府議会議員を経て、1969年の第32回衆議院議員総選挙で京都府第2区から日本共産党公認で立候補し、初当選を果たしました。

国会議員としての活動

寺前は、衆議院議員として、党中央委員、幹部会委員、国会対策委員長、常任幹部会委員、両院議員総会会長などの要職を歴任しました。国会では、主に衆議院運輸委員会に所属し、政策立案や議論に積極的に参加しました。

京都府では、革新勢力が強い地域性もあり、寺前は安定した選挙戦を繰り広げていました。しかし、第37回衆議院議員総選挙では、共産党が寺前と新人の有田光雄の2名を擁立した結果、両者が票を食い合う形で落選するという苦い経験をしました。この背景には、寺前が自民党の国会対策委員と会食したことが党内で問題視され、その結果、党内の対立が激化したという事情がありました。その後、第38回衆議院議員総選挙で再選を果たし、国政に復帰しました。

1996年10月には、小選挙区制導入後初の総選挙となる第41回衆議院議員総選挙で、京都3区から9回目の当選を果たしました。この選挙で、日本共産党から小選挙区で当選したのは、寺前と高知1区の山原健二郎のみでした。これは、2014年の第47回衆議院議員総選挙で赤嶺政賢が沖縄1区で当選するまで、共産党の小選挙区当選者はこの2人だけでした。寺前は、2000年の第42回衆議院議員総選挙には立候補せず、政界を引退しました。

死去

2020年6月6日午前7時16分、寺前は老衰のため京都市内の自宅で生涯を閉じました。94歳でした。

評価

政治評論家の浜田幸一は、著書『日本をダメにした九人の政治家』の中で、日本共産党の宮本顕治や党員の行動規制について批判しましたが、寺前については「一時は話し合いの政治に乗って来そうな気配を見せた」「自民党の国会対策委員と食事をして、対話の時代もあった」と評価しました。これは、寺前が党の方針に縛られず、柔軟な姿勢で他党の議員とも対話を図ろうとしていたことを示唆しています。

関連人物

寺前巌に関連する人物として、以下の人々が挙げられます。

日本共産党: 寺前が所属した政党。
穀田恵二: 日本共産党の政治家。
古堅実吉: 日本共産党の政治家。
有田光雄: 中選挙区時代の京都府第2区で寺前と同時に立候補し、共倒れとなった政治家。
* 野中広務: 中選挙区で同じ選挙区で競い合った元国鉄職員の政治家。

もう一度検索