寺尾寿

寺尾 寿について

寺尾寿（てらお ひさし、1855年11月4日 - 1923年8月6日）は、明治から大正時代にかけて日本の天文学と数学において重要な役割を果たした福岡県出身の学者です。彼は東京物理学校（現在の東京理科大学）の初代校長としても知られ、近代的な日本の天文学の基礎を築くのに尽力しました。彼の指導の下で、多くの学生が育ち、その中には著名な学者である平山信や木村栄が含まれています。

経歴の概要

寿は福岡藩士の家に生まれ、藩校に通った後、1873年に東京外国語学校に入学しフランス語を学びました。1874年には開成学校（東京大学の前身）に入学し、物理学を専攻する傍ら、エミール・レピシエから天文学を学びました。1878年に東京大学理学部を卒業し、その後官費留学生としてフランスに渡ります。パリ天文台で天文学を研究し、同時にパリ大学で数学や天体力学を学びました。1882年には金星の太陽面通過の観測に参加し、1883年に帰国します。

帰国後、東京大学で講師として教壇に立ち、文部省にも貢献しながら日本で初めて子午環を用いた緯度測定を行いました。また、1883年には東京物理学講習所の創立に携わり、初代校長に就任しました。1884年には東京大学の星学科教授に就任し、数学に関する講義も行うようになります。彼の講義は当時の日本では革新的でした。

学問の推進とローマ字

寿はローマ字の推進にも力を入れ、1885年には友人たちと「羅馬字会」という団体を設立しました。この活動を通じて、日本語の表記に関する新しい視点を提供しました。1888年には東京大学附属の東京天文台の初代台長に就任し、学問的な業績をさらに広げていきました。彼は同年に理学博士号を授与され、国際的な天文学界にもその名を知られることとなりました。

1891年には、自身の月食予測の誤りによる減俸処分を受けるも、星学科の第一講座を担当し続けます。1898年には文部省の測地学委員会初代会長となり、市井の天文学者たちと共にインドでの初の海外観測遠征を成功させます。寺尾の功績は日本の天文学界に大きな影響を与えるものでした。

引退後の生活

1915年に60歳で東京帝国大学の教授を退官し、1920年には名誉教授の称号を受け取りました。引退後は静岡県の伊東で穏やかな生活を送り、読書にふける日々を過ごしました。彼は著名な学者としてだけでなく、温厚な人柄でも知られ、多くの弟子たちに好かれていました。寺尾寿の墓所は青山霊園にあり、その功績は今も語り継がれています。

まとめ

寺尾寿の生涯は、近代日本の天文学や数学の発展に寄与した重要な存在であったことが多くの成人の記憶に刻まれています。彼の教育熱心さと学問への情熱は、後の世代に多くの影響を与え続けることでしょう。

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