東京物理学校

東京物理学校：知の灯を灯した学び舎

東京物理学校は、1881年、東京大学理学部物理学科の卒業生たちによって設立された私立の物理学校です。現在の東京[[理科大学]]の前身であり、日本の理科教育の発展に大きく貢献しました。

設立の背景

東京大学理学部物理学科の初期卒業生たちは、学科が廃止されることを機に、物理学の普及を目指し、私塾「東京物理学講習所」を設立しました。設立当初は夜間学校として、働きながら学ぶ人々にも門戸を開き、無給の講師陣による熱心な指導が行われました。

苦難の時代と学校の発展

開校当初は、小学校の校舎を借りて授業を行うなど、多くの困難がありました。しかし、1883年には「東京物理学校」と改称し、フランス留学帰りの寺尾壽が初代校長に就任。その後、「東京物理学校維持同盟」が結成され、財政基盤が安定しました。専門学校令の発布により、一時「各種学校」という位置づけになりましたが、中等教員検定試験の受験資格が得られるなど、教員養成機関としての地位を確立していきました。

教育の特徴と卒業生の活躍

東京物理学校は「入りやすく出にくい」学校として知られ、入学は容易でしたが、卒業・進級は非常に厳しかったと言われています。そのため、卒業生は高い学力を持ち、特に数学・理科教員として中等教育界で重要な役割を果たしました。夏目漱石の小説『坊つちやん』の主人公も物理学校出身という設定であり、当時の教育界における物理学校の影響力の大きさを物語っています。

専門学校への昇格と東京[[理科大学]]への発展

1917年、東京物理学校は専門学校に昇格し、更なる発展を遂げました。その後、東京帝国大学との繋がりを強め、多くの卒業生を輩出しました。1949年には東京[[理科大学]]が設置され、東京物理学校は1951年にその歴史に幕を閉じました。しかし、その精神は東京[[理科大学]]に受け継がれ、現在も日本の科学技術の発展に貢献しています。

校地の変遷

開校当初は小学校の校舎を間借りしていましたが、その後、神田小川町や神楽坂へと移転しました。特に神楽坂校舎は、関東大震災や東京大空襲にも耐え、多くの学生や地域住民を支えました。現在は、東京[[理科大学]]の神楽坂キャンパスとして利用されています。

記念施設

東京[[理科大学]]近代科学資料館には、「物理学校記念コーナー」が設けられ、当時の教材などが展示されています。物理学校の歴史と教育の足跡を今に伝える貴重な資料です。

年表

1881年6月13日：東京物理学講習所として設立
1881年9月11日：東京物理学講習所が開校
1883年9月：東京物理学校と改称
1917年3月26日：専門学校として認可
1949年2月21日：東京[[理科大学]]の設置が認可
1951年3月31日：東京物理学校廃止

歴代校長

初代：寺尾寿（1883年9月 - 1896年2月）
2代：中村精男（1896年2月 - 1930年1月）
3代：中村恭平（1930年1月 - 1934年1月）
4代：大河内正敏（1934年3月 - 1945年12月）
5代：平川仲五郎（1945年12月 - 1949年4月）
6代：本多光太郎（1949年4月 - 1951年3月）

まとめ

東京物理学校は、日本の理科教育の発展に大きな足跡を残した教育機関です。その歴史は、現在の東京[[理科大学]]へと受け継がれ、多くの人材を輩出し続けています。困難を乗り越えながら、教育の灯を灯し続けた東京物理学校の精神は、今もなお、私たちの心に深く刻まれています。

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