寺山観音寺

寺山観音寺（てらやまかんのんじ）

寺山観音寺は栃木県矢板市長井に位置する真言宗智山派の寺院です。その名の通り、寺山地区に所在し、高原山の中腹にあたる標高450m前後の場所に坐しています。この寺院の山号は与楽山、院号は大悲心院で、正式名称は与楽山 大悲心院 観音寺です。本尊は千手観世音菩薩で、国の重要文化財にも指定されています。

歴史

創建

寺山観音寺の成立に関する伝承によると、724年に聖武天皇の勅願に従い、行基が高原山の剣ヶ峰近くに法楽寺を建立しました。しかし、803年に雷火によって焼失しましたが、その際に本尊は無事でした。806年には平城天皇の勅願により、徳一が本尊を現在の地に移し、寺を再建しました。この江戸時代の元号に従うと、現寺院は当時から形成されてきたことが分かります。本尊は秘仏であり、60年に一度、甲子年の旧暦9月10日から7日間のみ開帳されます。

中興

法橋行縁は、1200年頃に寺山観音寺に入寺し、荒廃していた観音堂の修復を行いました。その後、彼の存在によって寺は再び繁栄を迎えました。しかし、伝承に記された修復年代の矛盾があり、一部の学者は別の解釈を述べています。この修復に関わる重要な文化財としては、木造の行縁僧都坐像があります。

やいた建物十選

寺山観音寺の観音堂と楼門は天和4年に築かれ、1997年には「やいた建物十選」に選出されました。これらの建物は歴史的な価値が高く、多くの人々に親しまれています。

文化財

寺山観音寺は数々の文化財を有しており、その中には国指定の重要文化財や栃木県指定の有形文化財が含まれています。特に注目されるのは、木造千手観音坐像や木造毘沙門天立像などで、これらはすべて鎌倉時代に制作されたものです。

寺山七不思議

寺山観音寺の周囲には、七つの不思議が伝えられています。

1. 霊湯 - 境内の湯沢には病を治すとされる霊水があります。
2. 牛石 - 観音堂移築の際、牛が動かなかったことからできた石の伝説があります。
3. 白土 - 境内の白土は昔から建材として使用されてきました。
4. 赤根土 - 朱土が採れる場所もあり、用途がさまざまです。
5. 青ノリ - 特殊なノリが獲れる山があり、食材として重宝されます。
6. 盗賊不入 - 寺院には盗賊が侵入しないという伝承があります。
7. 絶えぬバン字池の水 - 池の水が年中途切れないという不思議も語り継がれています。

所在地とアクセス

寺山観音寺は栃木県矢板市長井にある1875番地に位置しています。JR宇都宮線矢板駅からは車で約20分、また東北自動車道矢板インターチェンジからは25分ほどです。寺の周囲には自然豊かな環境が広がっており、訪れる人々に安らぎを与えています。

結語

寺山観音寺は、歴史的価値、独自の文化、自然豊かな環境が融合した観光スポットです。多くの訪問者がこの場所を訪れ、その魅力を体感しています。

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