寺本広作

寺本広作の生涯と業績

寺本広作（てらもとこうさく、1907年8月29日 - 1992年4月7日）は、日本の政治家および官僚として広く知られています。熊本県の宇土郡不知火町（現在の宇城市）で生まれ、旧制第五高校を卒業後、1932年に東京帝国大学法学部を修了しました。卒業後は内務省に入省し、高知県に勤務しました。彼の政治家としての活動のスタートは、内務大臣からの秘書官職を務めたことにあり、特に東條英機の下でその経験を積みました。

終戦後の彼は、1950年8月1日に労働事務次官に就任し、その職務を通じて国の労働政策に深く関与しました。特に1952年には、女子や年少者に関する人身売買問題で衆議院の特別委員会に証人として呼ばれるなど、重要な役割を果たしました。1953年には官僚の職を辞し、改進党から参議院議員選挙に出馬し、熊本県地方区で初当選を果たしました。

その後、寺本は第2次鳩山一郎内閣において文部政務次官を務め、政治的なキャリアをさらに深めていきます。彼の特徴的なフレーズ「清正公さん（の統治期間）も12年。知事は3期12年まで」を掲げた彼は、1959年の知事選挙で桜井三郎に逆転勝利を収め、4選を目指しました。この結果、彼は1万票差で当選を果たしました。

知事としての彼の2回目の選挙（1963年）でも自民党から公認を得て再選し、反対の声に直面したものの、6万票の差で勝利しました。3回目の選挙では圧倒的な票差で勝利を収めましたが、4度目の選挙では田中角栄が公認した沢田一精との争いがあったため、出馬を断念しました。しかし、同じ年の参議院議員選挙には出馬し、見事当選を果たしました。

寺本は自民党の佐藤派に所属し、その後の角福戦争では田中派に参加しました。1977年には任期満了を迎え、政治の表舞台から退きます。彼の生涯を通じて、1977年には勲一等瑞宝章を受章するなど、顕著な業績が評価されました。

1992年4月7日に急性心筋梗塞により亡くなった寺本は、死後正四位に叙されました。長男の寺本清は日本銀行考査局長を経て福岡銀行の頭取を務め、次男の寺本泉は大蔵省の大臣官房審議官を経て整理回収機構の副社長として名を揚げました。彼の政治家としての姿勢や、公私にわたる誠実な人柄から、麻雀や酒を嗜まないという生き方は、当時の官僚たちに模範とされました。寺本広作のキャリアは、戦後日本の政治において忘れられない足跡を残しています。

もう一度検索