淡河疎水

淡河疎水（おうごそすい）は、兵庫県神戸市北区淡河町木津を起点とし、加古郡稲美町へと至る全長約26.3kmの疏水です。正式名称を淡河川疏水（おうごがわそすい）といい、山田川疎水と合わせて淡山疏水（たんざんそすい）とも呼ばれています。この疏水は、印南野台地における農業用水の確保を目的に、明治時代に築造されました。その歴史的価値から、疏水百選にも選定されています。

歴史

淡河疎水の建設は、1888年に着工され、1891年に完成しました。その後、1892年には疏水および隧道の工事が完了しています。2004年には、国道175号の拡幅工事に伴い、小林水路橋が撤去されました。撤去された石材は一時、三木ホースランドパーク内に保管されていましたが、2009年に兵庫県国土交通省事務所によって他所へ移されました。現在、同パークには小林水路橋の石材は残されていません。

2014年には、国際かんがい排水委員会によって、かんがい施設遺産に登録されました。

概要

疏水が建設される以前、印南野台地では畑作が中心でした。米作への転換のため、新たな農業用水が必要となり、明治21年に淡河村木津から淡河川疏水の工事が開始されました。3年4ヶ月の歳月を費やし、明治24年4月に完成に至ります。この疏水の設計は、内務省技師の田辺義三郎と、横浜水道の計画・建設者であるイギリス人ヘンリー・S・パーマーが担当しました。当初計画されていたものの、難工事が予想され見送られていた山田川疏水は、淡河川疏水の完成を受けて、明治44年に改めて神戸市北区の山田川からの疏水工事が着手され、大正4年に完成しました。

淡河疎水は、神戸市北区の木津川から稲美町の印南野台地までを繋いでいます。その間には、28か所の隧道があり、総延長は約5200mにも及びます。工事は難航を極め、特に芥子山隧道は土質が崩れやすく、湧水が多かったため、請負人の手に負えず、県の直営工事として進められました。

現在、東播地方のため池とこれらの疏水は、昭和45年度に事業着工し、平成4年度に完成した国営東播用水事業によって整備されたダムや水路によって潤されています。

主な橋・隧道

御坂サイフォン橋（眼鏡橋）：全長54m、全高12m
平木橋・掌中橋（水路橋）
芥子山隧道：約682m

外部リンク

淡河川疏水工事 （古市公威アーカイブス>旧蔵写真館） - 土木学会附属土木図書館
疏水百選 - 全国水土里ネット（全国土地改良事業団体連合会）
疏水名鑑-淡山疏水-
兵庫県―東播用水農業水利事業

脚注

関連項目

志染川
疏水百選
加古大池
* ため池

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