寺田瀧雄

寺田 瀧雄 (てらた たきお)

寺田瀧雄は、1931年4月25日に和歌山県に生まれ、2000年7月30日にこの世を去った日本の作曲家です。彼は主に宝塚歌劇団専属の作曲家として活躍し、数多くの名曲を生み出しました。20世紀後半の宝塚歌劇を支えた彼は、"宝塚のモーツァルト"という愛称でも知られています。

略歴

寺田は大阪音楽大学を卒業した後、1956年に阪急電鉄（宝塚歌劇団）に入社し、作曲家としての道を歩み始めました。1958年からは、実際の舞台制作に参加し、本格的に作曲活動を行いました。彼は、演出家の植田紳爾や柴田侑宏と共に数々の作品を手掛け、大ヒットした『ベルサイユのばら』の主題歌「愛あればこそ」、さらには『風と共に去りぬ』の「明日になれば」を含む約3000曲もの楽曲を制作しました。これらの曲は、現在でも宝塚で歌い継がれており、彼の音楽は多くの人々に愛されています。

また、寺田は大阪万博や国際花と緑の博覧会の開会式音楽、美空ひばりの主演舞台など、様々な公演でも音楽を担当しました。彼の作曲家としての技術と柔軟性は非常に高く評価されており、長年の活動の間に宝塚歌劇団内での影響力も非常に大きかったです。

問題の影響と経歴の終焉

とはいえ、寺田の作曲家としてのキャリアにおいては、暗い側面も存在していました。彼は、特に若いタカラジェンヌに対しての不適切な行動が問題視され、1999年には未成年のタカラジェンヌへの暴行未遂疑惑が浮上しました。この報道により彼の評判は大きく傷つき、歌劇団内からの信頼も失ったことになります。問責を受けた寺田は、理事職を解任され、幹事に降格し、謹慎処分を受けることとなりました。

その後、2000年に彼は作曲活動へ復帰し、芸術家生活40周年を祝うコンサートも開催しましたが、同年7月には交通事故に遭い、数日後に多臓器不全で亡くなりました。享年69。彼の名作の一つ、『凱旋門』が遺作となってしまったことが惜しまれます。

追悼と評価

寺田の死後、彼と長年共演した演出家の植田は、インタビューで寺田の音楽の技術を高く評価しました。「彼は演出家の私たちの求める音楽を熟知しており、彼の書く音楽に対して書き直しをお願いしたことは一度もなかった」と述べるほどでした。これは、彼の音楽が持つ独自の美しさと、演出家との信頼関係を物語っています。

2010年に没後10周年を迎え、『寺田瀧雄メモリアルコンサート』が東京で開催されました。このコンサートには、歴代のトップスターが集まり、彼の作品を歌い継いでいます。後年、2014年には《宝塚歌劇の殿堂》の最初の100人に選出され、その功績が再認識されることとなりました。

主な作品

寺田はその多彩な才能から様々な作品を生み出しました。代表的な楽曲には「愛あればこそ」、「あおいドナウの岸辺」や「明日になれば」など、今なお心に響く名曲が揃っています。彼が手掛けた作品は、宝塚歌劇団を支える重要な音楽になっており、後世にわたって愛され続けることでしょう。

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