対 (アルバム)

『対/TSUI』（The Division Bell）は、1994年にピンク・フロイドが発表したスタジオ・アルバムであり、前作『鬱』から7年ぶりの作品です。本作は、イギリスやアメリカをはじめとする世界各国でチャート1位を獲得し、世界的なベストセラーとなりました。アメリカだけで300万枚、全世界では1,000万枚を超える驚異的な売上を記録しています。

概要

レコーディング・セッションは1993年から断続的に行われ、前作に引き続きデヴィッド・ギルモアが中心となって制作が進められました。キーボード担当のリチャード・ライトが正式メンバーとして復帰し、楽曲も提供。「ウェアリング・ジ・インサイド・アウト」ではリード・ヴォーカルも担当しています。この時のセッション音源をもとに、2014年にはバンドにとって最後のオリジナル・アルバムとなる『永遠』がリリースされました。

レコーディングには、バンドの3人のメンバーだけでなく、多くのスタジオ・ミュージシャンが参加しています。プロデュースはボブ・エズリン、ミキシングはクリス・トーマスという大御所2人が担当。作詞は、後にギルモアと結婚するポリー・サムスンが担当しています。

アルバムは「コミュニケーションの欠如による対立」というテーマで制作されたコンセプト・アルバムであり、ストーム・ソーガソンによるジャケット写真がそのテーマを表現しています。全体的には落ち着いた印象のアルバムですが、1970年代のプログレッシヴ・ロック・サウンドを彷彿とさせるような、奥行きのある音作りが特徴です。

アルバム収録曲の「孤立」は、グラミー賞ベスト・ロック・インストゥルメンタル部門を受賞し、ピンク・フロイドにとって初のグラミー受賞となりました。また、シングルカットされた「テイク・イット・バック」はイギリスで23位のヒットを記録しています。

ツアー

アルバム発売後には、音楽史上に類を見ない大規模なワールドツアーが開催され、延べ550万人もの観客を動員しました。その模様は、ライブアルバムおよび映像作品『P.U.L.S.E』として翌年に発売されています。

日本盤コピー

「全人類に対する警鐘!? ベルリンの壁崩壊後、ピンク・フロイドが初めて世に問うものは何か?　全人類待望のニューアルバム。今ここで全てが明らかにされる」

ピンク・フロイドの『対/TSUI』は、音楽的な深みとメッセージ性、そして圧倒的なスケールで、世界中の音楽ファンを魅了し続ける作品です。

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