対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約

対人地雷禁止条約：地雷廃絶への道のり

1997年9月18日、対人地雷の使用、生産、貯蔵、移譲を禁止する画期的な国際条約が調印されました。通称「オタワ条約」または「対人地雷禁止条約」と呼ばれるこの条約は、人道上の危機である対人地雷問題の解決に向けて、国際社会が一致結束して取り組む意思を示す重要な一歩となりました。

条約の内容と締約国の責務

この条約は、対人地雷の開発、生産、貯蔵、保有、移譲、使用を全面的に禁止しています。締約国は、これらの活動を一切行うことはもちろん、他の国々に対してこれらの活動への援助、勧誘、奨励を行うことも禁じられています。さらに、全ての対人地雷を廃棄し、その撤廃を確実に行うための法的、行政的、その他のあらゆる適切な措置を講じる義務を負います。罰則規定の導入なども含まれます。

条約成立までの道のり：NGOの尽力と国際的な運動

オタワ条約の成立には、多くのNGOの献身的な活動が不可欠でした。1991年、米国ベトナム退役軍人財団とドイツのメディコインターナショナルが、対人地雷の全面禁止を目指したキャンペーンを開始。その後、1992年には「地雷禁止国際キャンペーン（ICBL）」が発足し、世界規模での運動へと発展していきました。

1995年にはベルギーが世界に先駆け対人地雷の製造、使用、輸出、移譲を禁止する法律を制定。EUも対人地雷禁止に向けて共同行動を開始しました。そして、1996年のカナダ・オタワで開催された国際会議を経て、1997年にオスロで条約の起草会議が開かれ、条約の最終的な文言が確定しました。ICBLとジョディ・ウィリアムズは、この運動への貢献が認められ、1997年のノーベル平和賞を受賞しています。

条約の発効と運用検討会議

オタワ条約は1997年12月3日にオタワで署名され、40ヶ国目の批准書の寄託から6ヶ月後の1999年3月1日に発効しました。日本は1997年12月3日に署名、1998年9月30日に批准、1998年10月28日に公布し、1999年3月1日に発効しています。

条約の発効後も、地雷廃絶に向けた取り組みは継続されており、ケニア・ナイロビ（2004年）、コロンビア・カルタヘナ（2009年）、モザンビーク・マプト（2014年）などで運用検討会議が開催されました。これらの会議では、地雷廃絶に向けた今後の取り組みが議論され、具体的な行動計画が採択されています。

条約の影響と残された課題

オタワ条約の発効後、世界の対人地雷の数は減少しました。しかし、依然として多くの課題が残されています。大国の不参加、非国家勢力による地雷の使用、即席爆発装置（IED）による被害の増加、国際社会の支援低下などが、今後の課題として挙げられています。

2020年12月現在、164ヶ国が条約に批准していますが、アメリカ合衆国、ロシア、中華人民共和国など、主要な保有国・輸出国が未だに批准していません。アメリカ合衆国は2014年に加盟方針を表明しましたが、完全な批准には至っていません。また、近年ではフィンランドやウクライナから脱退の動きも出ているとされています。

オタワ条約は、対人地雷問題への国際社会の取り組みにおいて大きな成果を収めてきましたが、完全な地雷廃絶に向けては、さらなる努力と国際協力が不可欠です。

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