対気速度計

対気速度計について

対気速度計（Air Speed Indicator, ASI）は、航空機の対気速度を測定し、パイロットに重要な情報を提供する航空計器です。主に速度の単位として、キロメートル/時（km/h）、ノット（kn）、マイル/時（MPH）、メートル/秒（m/s）を使用します。ICAO（国際民間航空機関）はkm/hの使用を推奨していますが、現在もノットが一般的に使用されています。

機能と動作原理

ASIは、静的ポートから得られる静圧と、空気流れの中から得られる全圧との圧力差を基に機能します。この圧力差が、計器の針に反映され、パイロットは速度を一目で確認できます。ASIは航空機の性能を安全に保つため、特に重要な計器となります。

速度表示の色分け

対気速度計には、速度の範囲に応じた色分けがあり、安全な飛行操作を示すための基準が設けられています。例えば、緑色の円弧は、通常の飛行範囲を示しており、白色の円弧はアプローチ及び着陸時に使用されるフラップ動作範囲を示します。黄色の円弧は注意を促すエリアであり、その上部の赤い線（VNE）は、速度がこの値を超えると機体に損傷を与える危険があることを示しています。

多発機の場合、さらに赤と青の放射状マーキングが追加され、エンジン故障に関連した重要な速度を示します。例えば、赤い線（Vmc）は、重要なエンジンが停止している状態で航空機を制御できる最低速度を示し、青い線（VYSE）は、最も効率的に上昇できる速度を指しています。

ASIの動作メカニズム

ASIは、静圧とピトー管からの情報を基に動作します。航空機が静止しているとき、両者の圧力は同じため、指針はゼロを指示します。しかし、航空機が前進することでピトー管内の圧力が上昇し、その差分が指針の動きに影響を与えます。ASIは、離陸前にゼロであることを確認し、離陸後は増加していることを確認する必要があります。

対気速度の種類

対気速度には、大きく分けて4つのタイプがあります。これらは「ICE-T」と覚えると良いでしょう。

• - 指示対気速度（Indicated Air Speed, IAS）: ASIから直接読み取る速度であり、補正が行われていません。
• - 較正対気速度（Calibrated Air Speed, CAS）: 設置や計器の誤差が補正された速度です。
• - 等価対気速度（Equivalent Air Speed, EAS）: CASをもとに、空気の圧縮効果を考慮した値です。
• - 真対気速度（True Air Speed, TAS）: CASを高度と温度に基づいて補正した速度で、計画飛行に用いられます。

ジェット機における対気速度計

ジェット機の場合、従来のレシプロ機と異なり、VNOやVNEの代わりに最大動作速度をVMOまたはMMOとして示します。このため、ジェット機のパイロットは対気速度計とマッハメーターの両方を使用します。ASIには赤白の縞模様があり、制限速度を示す機能を果たしています。

迎角とリフトリザーブインジケータ

ASIだけでは失速の危険を回避することは難しいため、迎角(AOA)やリフトリザーブインジケータを併用することが重要です。AOAインジケータは臨界迎角への接近を示し、河川の特性や環境に応じた対応が求められます。また、リフトリザーブインジケータは揚力の状況を視覚的に表示します。

まとめ

対気速度計は航空機が安全に飛行するために欠かせない計器であり、その理解はパイロットにとって基本的な知識の一つです。各種速度のおおよその理解と、特に飛行中の注意を怠らないことが、航空機の安全な運行に寄与するでしょう。

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