対潜空母

対潜空母の概要

対潜空母（たいせんくうぼ）は、主に潜水艦に対抗することを目的とした航空母艦であり、アメリカ海軍では特に冷戦時代の対潜戦力として重要な役割を果たしました。これらの艦は、潜水艦に対する攻撃能力を強化するために設計され、航空機の運用や戦闘機能を備えています。アメリカ海軍は対潜戦を効率的に行うために新たな艦体分類記号「CVS」を1952年に設け、対潜任務に従事する航空母艦を区別しました。この記号は1974年にまで使用されました。

CATOBAR方式の発展

1940年代末、冷戦構造の成立とともにアメリカ海軍はソ連海軍の潜水艦に対処するため、対潜戦能力の強化が求められました。この時期、アメリカはコメンスメント・ベイ級航空母艦を改装し、対潜戦用の航空母艦（CVEK）として運用を開始しました。これらの艦はTBM-3WやAD-3Wなどの航空機を搭載して、潜水艦攻撃に従事しました。さらに、護衛空母が対潜任務に充当されると同時に、軽空母もこの役割に適用されました。朝鮮戦争後、軽空母の改修が行われ、対潜任務に対応する艦が増加しました。

1952年には新しいCVSの分類が導入され、エセックス級空母などの正規空母も対潜戦に利用されるようになりました。この時、最新の艦上哨戒機S2Fの配備が進むとともに、とりわけ大西洋の哨戒範囲を拡大するための対応が必要となりました。1954年からは、戦闘機の搭載が行われ、通常は4機のF2H戦闘機が対潜空母に派遣されましたが、1960年以降は一時期これを行わず、A4Dを運用し始めました。

ベトナム戦争とその後の運用

ベトナム戦争では、対潜空母が頻繁に用いられ、S-2哨戒機やA-4攻撃機が防空任務を担いました。さらに、SH-3AやAD-5Wなども様々な任務を実施しました。この時期には艦艇改修が進行し、1966年には「ワスプ」に対潜戦用の改装が施されました。

1970年代になると、アメリカ海軍は海上戦力の構築と国際的な任務のバランスを保つことが求められました。これに応じて、攻撃空母に対潜戦用機能を持たせる方針が打ち出され、CVSの運用は1974年までに終了しました。

ヘリコプター・STOVL方式への移行

第一次世界大戦中から、護衛空母の対潜戦での役割が重要視されており、戦後は特にヘリコプターがこの任務にほとんど取って代わるようになりました。1945年には初めてヘリコプターが対潜戦に利用され、戦後、アメリカ海軍は護衛ヘリコプター空母（CVHE）を新たに設けて、船団護衛の一翼を担うことを目指しました。イギリス海軍やスペイン海軍、イタリア海軍も同様に、ヘリコプターを活用した艦艇の運用を模索し、それぞれの機能に応じた設計や改修が行われました。

総じて、対潜空母は潜水艦戦力に対して重要な防衛の壁を形成するとともに、冷戦時代における海軍戦略の中心的な要素として位置づけられました。最近の技術革新にともない、これらの艦若しくはその役割は進化し続けています。

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