対馬丸 (連絡船・初代)

対馬丸（つしままる）は、日本の明治時代に建造された大型海峡渡船で、関釜連絡船の第2船として1905年に就航しました。初代壱岐丸に続く形で登場したこの船は、山陽鉄道に関連する山陽汽船によって下関と釜山の間を結ぶ重要な航路の一翼を担いました。時は日露戦争の終結直後、日本が大陸へと進出しようとする中、両国の連絡を密にする目的で建造されたのです。

当初、対馬丸は1905年11月1日に就航し、毎日の運航を行いました。この航路は、釜山と下関を結ぶもので、震災以前は釜山行きが11時間30分、東京から京城までの距離を60時間で結ぶという利便性がありました。国有化を経て、利用者の急増に合わせて船舶の規模を拡大する必要がありました。

船体は壱岐丸型で、日本初の本格的な大型海峡渡船となりました。船舶の構造は、覆甲板を持ち、乗客を快適にこの長距離の航海に導く設計が施されていました。船内には多様な客室が配置され、談話室や食堂も完備。運行が続く中で、視界不良や悪天候の影響による事故も発生しました。特に1924年には、濃霧の中で座礁する事故が発生し、多くの乗客が一時的に危険に晒されましたが、迅速な救助により大事には至りませんでした。

その後、1923年には稚泊航路への転属が決定しました。対馬丸は砕氷船としても活躍できるように改造され、その能力が求められる厳しい環境での運航も可能となったのです。しかし、運命は厳しく、1925年に激しい吹雪の中で針路を誤り、暗礁に座礁して全損となってしまいました。こうして対馬丸の歴史は、当時の海運の困難さを物語っています。

座礁事故後、対馬丸は引き揚げが試みられましたが、さまざまな悪条件に阻まれ、大半が水面下に沈む結果となりました。その後、その機能を補うために新たな大型砕氷船が建造されることになり、稚泊航路には新しい船が就航しました。

対馬丸の存在は、日本の海運業界にとって大きな意味を持っていました。座礁事故から学び得た教訓は、技術の進歩を促し、日本の船舶技術がどのように進化していくかを示す一例となりました。同時に、彼の名は日本の船の歴史として後世に語り継がれることとなり、海を渡る人々の安全を支えるための努力が続く原動力となったのです。

もう一度検索