寿峠

寿峠（ことぶきとうげ、繁体字中国語: 壽𡶛 / 壽卡）は、台湾の屏東県と台東県に跨る標高約460メートルの峠です。南迴公路（台湾省道台9戊線）の途中に位置し、中央山脈南端の尾根にある窪地を利用しています。具体的には、屏東県獅子郷草埔村と台東県達仁郷森永村の境界にあります。

概要

近年、台湾では自転車やオートバイでの環島（島一周）がブームとなっており、寿峠は重要な休憩地点として利用されています。日本統治時代には、現在の南迴公路の前身となる楓港台東道路が整備され、その過程でこの窪地が最高標高地点となりました。当時、日本人がこの場所を「寿峠」と呼ぶようになり、その名称は戦後もそのまま使われています。また、所在地である森永村という名前は、日本統治時代に森永製菓の農場があったことに由来しています。

かつて、峠には県道199号との合流地点に検問所が設置されていましたが、1997年10月15日に国防部と内政部が入山規制を解除したため、検問所は廃止され、放置されていました。しかし、国内でレジャー活動が盛んになるにつれて、南迴公路を自転車やオートバイで走破する愛好家が増加しました。約21kmの勾配が続くため、サイクリストたちは峠で休憩を取るようになりました。

その後、検問所跡は「鐵馬驛站」（日本のサイクリングターミナルに相当）として整備されました。南迴公路を含む台9線の大部分は、台湾本島を一周するサイクリングルート「環島1号線」に組み込まれています。自転車環島では、宜蘭県の蘇花公路が急峻で大型車の通行が多いため、鉄道での迂回が推奨されています。そのため、寿峠前後の区間が事実上の難所とされています。

峠は、台9線と県道199号の交差点であるだけでなく、台東と屏東両県の往来、さらには台湾本島の東部と西部の往来においても、恒春半島の付け根に位置しているため、東源湿地、旭海、墾丁などの観光地への重要な通過点となっています。2019年12月23日には、南迴公路改善計画により草埔トンネルを含む新道が開通し、所要時間が短縮されました。草埔から安朔までの旧道（寿峠を含む区間）は、支線（台9戊線）に格下げされました。

鐵馬驛站

台湾各地にある「鐵馬驛站」（ティエマー・イーチャン）は、コンビニエンスストアや警察施設、廃駅舎などを活用したサイクリスト向けの施設で、空気入れやトイレなどが備えられています。寿峠にも同様の施設が設置されています（台9線455.350km地点）。当初は検問所跡の建物がそのまま使われていましたが、サイクリストの増加に伴い、屏東県政府が2009年に正式な「壽卡鐵馬驛站」の看板を掲げました。元検問所の建物には、台湾原住民の排湾族のトーテムやオブジェが飾られています。休息は可能ですが、周辺には商店などはありません。

多い日には1日に500人近い観光客が記念撮影のために訪れます。2016年末には2ヶ月間閉鎖され、交通部観光局の補助金によるリフレッシュ工事が行われました。以前は、記念として壁や至るところに自分の名前を落書きする観光客が多く、排湾族のオブジェも標的にされて問題となっていましたが、リフレッシュ工事で除去されました。この場所の年間降雨量は、1980年から2018年の平均で3,441mm、最大降雨量は2005年の5,551mmとなっています。

周辺の観光地

寿峠周辺には、以下のような観光地があります。

佳楽水
南仁湖
牡丹水庫
東源湿地
旭海草原
阿塱壹古道
石門古戦場
四重渓温泉
九棚大沙漠（港仔大沙漠）
墾丁国家公園
* 雙流国家森林遊楽区

公共交通

国光客運1778路（枋寮 - 大武）の「壽卡」停留所が利用できます。

寿峠は、台湾の自然と歴史を感じられる場所として、多くの観光客やサイクリストに愛されています。その美しい風景と、サイクリスト向けの施設が、訪れる人々に快適な旅を提供しています。

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