封鎖突破船

封鎖突破船についての概要

封鎖突破船（ふうさとっぱせん）は、主に戦争時に敵国によって封鎖されている地域に対し、資源、需品、武器などを輸送するために設計された船です。これらの船は「封鎖ランナー」とも呼ばれ、特に南北戦争や第二次世界大戦での重要な役割を果たしました。

南北戦争における活動

南北戦争（1861年-1865年）の際、北軍は南部連邦に対する海上封鎖を実施しました。このため、南部諸州では軍事的および民間の物資が著しく不足する事態が発生しました。これに対処するため、南部海軍はイギリスのリバプールに代表部を設置し、銃器や弾薬、軍装品などの購入を行いました。また、封鎖突破船の建造や取得も行われ、イギリスの投資家もこの事業に参入しました。

これらの封鎖突破船は、高出力の機関を持ち、敵に視認されることを避けるために帆柱や煙突は低く設計されており、空気抵抗を減らすために後傾していました。船はイギリス領のバハマ諸島のナッソーやバミューダ諸島に合法的に貨物を運び、北軍の封鎖艦隊を巧みに回避して南部連邦の港へと入港しました。もし北軍の追跡を受けた場合でも、砲台に守られた海岸に乗り上げることができれば、船を失っても積み荷の代金で利益を得ることが可能でした。

帰路では、南部の綿花を積むことができましたが、出港時に比べると利益は限られていました。また、出航時には黒煙を上げることで封鎖艦隊の注意を逸らす工夫もなされました。しかし、北軍による拿捕も相次ぎ、捕まった船はナッソーに運ばれ競売にかけられました。

第二次世界大戦の事例

第二次世界大戦ではドイツ海軍が封鎖突破船を活用しました。1942年から1944年の間、彼らは大西洋とインド洋における連合国の海上封鎖を突破し、日本が支配していたアジアおよびインド洋の地域から、戦略物資や最新の軍事技術をドイツに運ぶための高速貨物船を派遣しました。往路では日本に必要な工作機械などの軍需品も届けられました。

日本海軍は、ドイツ船舶を「柳船」と呼び、昭南やペナンの基地を提供しました。日本海軍の艦艇や燃料、物資補給を通じて協同作戦を展開しましたが、大戦終結までにドイツに帰還できた船はわずか17隻中2隻でした。その背景には、日本域内での事故や撃沈、留置などの影響がありました。

文献

封鎖突破船に関する情報は、さまざまな文献に記されています。例えば、Heinz Schäfferの『Uボート977』や石川美邦の『横浜ドイツ軍艦燃ゆ』、新井恵美子の『箱根山のドイツ兵』などがあります。これらの資料では、封鎖突破船の運用や歴史的な事件についてさらに詳しく知ることができます。

まとめ

封鎖突破船は、その独自の構造と戦術によって、戦時下における重要な役割を果たしてきました。南北戦争や第二次世界大戦の実例からも、その戦略的な重要性が窺えます。これらの船の運用についての研究は、軍事史における多くの興味深い洞察を提供しています。

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