専売局 (台湾)

台湾専売局：歴史と建築の粋

台湾専売局は、台湾の歴史における重要な役割を果たした建築物であり、現在は国定史跡としてその姿を留めています。台北市南昌街に位置するこの建物は、ルネサンス様式の赤レンガ造りで、その美しい外観は訪れる人々を魅了します。建設された1913年から2000年まで、台湾の専売事業の中枢として機能し、台湾の経済や社会に深く関わってきました。

日本統治時代から民営化へ

専売局の歴史は、日本統治時代の大正2年（1913年）に遡ります。台湾総督府の専売局庁舎として建設が始まり、大正11年（1922年）に完成しました。当初は、アヘン、食塩、樟脳、タバコ、酒、マッチ、度量衡儀器、石油など、多岐にわたる品目の専売事業を監督していました。台湾における専売制度は、その後の台湾経済に大きな影響を与えることになります。

第二次世界大戦後、台湾は国民政府に接収され、専売局は公売局として名称を変えましたが、アヘンを除く専売事業は継続されました。しかし、専売制度は初期には汚職の温床となり、1947年には闇タバコの取り締まりがきっかけで二二八事件が発生するなど、社会的な混乱を招いた側面も持ち合わせていました。

1950年代になると、台湾の公売制度は見直され、食塩が専売対象から除外されました。石油は中油に、度量衡儀器とマッチは民間に移管されました。1960年代末には樟脳も専売事業から外れ、専売対象はタバコと酒のみとなりました。そして、1990年代に入ると、それらも徐々に民間に開放されていきました。2002年、公売局は台湾菸酒股份有限公司として民営化され、台湾における専売事業はその歴史に幕を閉じました。専売局の建物は、民営化後も台湾菸酒公司の本社として使用されています。

建築の特徴

専売局の建物は、台湾総督府営繕課の森山松之助が設計し、神戸組が施工を担当しました。ルネサンス様式の美しい赤レンガ建築は、当時としては非常に先進的なものでした。その外観は、当時の台湾における西洋建築の影響を色濃く反映しており、現在も多くの建築ファンを魅了しています。

文化遺産としての価値

専売局の建物は、1998年に中華民国政府によって国定史跡に指定されました。これは、この建物が台湾の歴史と文化において重要な役割を果たしてきたことの証です。2006年からは、国立台湾博物館、旧日本勧業銀行台北支店、旧三井物産台北支店、台湾総督府交通局鉄道部、専売局樟脳工場の6施設を複合的に整備し、首都核心区台湾博物館として整備する計画が進められています。専売局は、台湾産業博物館の一つとして、その歴史と建築的価値を後世に伝える役割を担うことになります。

専売局は、台湾の歴史を語る上で欠かせない存在であり、その美しい建築は、今もなお多くの人々に感動を与えています。この建物が、台湾の重要な文化遺産として、これからも大切に保存されていくことを願います。

もう一度検索