専念寺 (大阪市平野区)

専念寺

専念寺は、大阪市平野区喜連に位置する融通念仏宗の寺院です。特に、本堂内陣に飾られた迦陵頻伽の絵図は「日本で一番美しい」と称され、多くの人々を魅了しています。

歴史

創建

専念寺は、1597年（慶長2年）に道善上人によって創建されました。寺伝によれば、道善上人は融通念仏宗の宗圓上人に師事し、出家後、この地に寺を建立しました。

江戸時代

創建当初、専念寺は喜連村の檀信徒によって運営されていましたが、江戸時代には幕府の宗教政策により僧侶が必要となり、浄土宗から転宗した深誉が看坊として迎えられました。宝永地震では本堂が半壊しましたが、その後改修が行われ、本堂は瓦葺きに、内陣は中世の道場様式を残す押し板形式に改められました。

1794年には、服部規氐大居士が大般若経600巻を写経し、絵師の橘保春が描いた十六善紳の掛け軸を寺に納めました。この掛け軸は、当時の地域文化を伝える貴重な資料となっています。

近代

明治時代には、大念仏寺の山主教忍から十一尊天得阿弥陀如来が下賜されました。その後も、屋根の葺き替えや大修繕、庫裏の建て替えなどが行われ、寺は維持されてきました。

現代

阪神・淡路大震災で本堂が損傷しましたが、修復を経て、華の絵天井や迦陵頻伽の絵図が奉納されました。特に迦陵頻伽の絵図は、その美しさから多くの参拝者を集めています。

特徴

迦陵頻伽

専念寺の最大の特徴は、本堂内陣に描かれた迦陵頻伽の絵図です。この絵図は、仏画師によって丁寧に描かれ、その美しさは「日本一」と評されています。迦陵頻伽は仏教に登場する想像上の生物で、美しい声で人々を魅了すると言われています。

寺紋

専念寺の寺紋は五七桐の紋です。これは、中喜連の地がかつて豊臣家の領地であったことに由来します。寺紋は、本堂や山門の軒丸瓦にも用いられています。

本尊と脇仏

専念寺の本尊は阿弥陀如来です。また、脇仏には悪縁を断ち切る毘沙門天が祀られています。

御朱印

専念寺では、通常の御朱印に加えて、期間限定の御朱印も授与しています。御朱印は、参拝の記念として人気があります。

山号

専念寺の山号は一向山です。これは、「一向専念無量寿佛」という経文に由来し、一心に念仏を唱えれば功徳を成就するという強い念仏信仰が込められています。

行事

専念寺では、年間を通じて様々な行事が行われています。

• - 御本尊御回在（6月3日）
• - 大施餓鬼法要（8月26日）
• - 大般若転読法要（11月3日）

特に11月3日に行われる大般若転読法要は、多くの人で賑わいます。

歴代住職

専念寺は、開基の道善上人以来、多くの住職によって護持されてきました。以下に主な歴代住職を記します。

道善
深誉
隥天
天瑞
義鳳
泰淳
栄全
浄範
存海
良範
恩光
恩教
慈雲
白道
善道
志願
覚念
秀誡
義順
正啓（現住職）

交通

専念寺へは、大阪メトロ谷町線喜連瓜破駅から徒歩約7分です。

参考文献

『喜連村村誌』
『大念仏寺四五代記録並末寺帳』
* 『関西大学所蔵摂津国住吉群中喜連村佐々木家文書』

専念寺は、歴史と文化が息づく寺院として、地域の人々に親しまれています。美しい迦陵頻伽の絵図をはじめ、多くの魅力を持つ専念寺に、ぜひ足を運んでみてください。

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