将来装輪戦闘車両

将来装輪戦闘車両の概要

将来装輪戦闘車両は、防衛省が進める新しい装甲戦闘車両の開発事業であり、ファミリー化を通じて技術の共通化を図るものです。このプロジェクトは、整備コストやライフサイクルコストの削減、さらに運用性の向上を目的としています。研究試作は2003年度から2007年度まで行われ、その成果を基に実際の車両開発が議論されました。

開発背景

当初、「将来装輪戦闘車両（対空）」という名称で、対空戦闘車両が中心に研究されました。しかし、装備構想が変化する中で、事業名は単に「将来装輪戦闘車両」に改められ、2007年度には研究が完了しました。このプロジェクトは新技術の実験と試作から得られた洞察をもとに、各車両型を実現するための基盤を築くことを目指しています。

技術的進展と試作

研究試作の結果、テレスコープ弾機関砲（CTA機関砲）が搭載され、これは防衛省技術研究本部により開発された50mmを小型化したものです。成果は「近接戦闘車用機関砲システムの研究」にも応用され、高い技術的な実績を持っています。

将来装輪戦闘車両のファミリー化

この装輪戦闘車両は、多様な運用目的に応じたファミリー化構想を持っています。具体的には、以下の3つの項目を共通化することを計画しています：

1. ハッチタイプとキャビンタイプ車両の共通化
2. ハッチタイプ車両の懸架装置の共通化
3. 機関砲を搭載するハッチタイプ車両の機関砲の共通化

ハッチタイプの車両は箱型のデザインであり、キャビンタイプはトラック型に近い形状をしています。この方針に基づき、将来の装輪戦闘車両の設計が進められています。

具体的な車両計画

現時点での具体的な車両計画としては、16式機動戦闘車や近接戦闘車が挙げられます。16式機動戦闘車は105mm砲を装備し、攻撃及び防衛任務において高い機動性を維持しています。近接戦闘車は、国産のテレスコープ弾機関砲を採用しており、戦況に応じた臨機応変な武装配置が可能です。また、歩兵戦闘車型や偵察車型などの新たな開発プロジェクトも進行中であり、次期装輪装甲車の計画も具体化しています。

装備の展望

防衛省は多様な企業から提案を受け、最適な車両を選定する方針を採っています。具体的には、三菱重工業の16式機動戦闘車を基盤にした機動装甲車や、フィンランド製のパトリアAMVなどが候補とされています。これにより、国内外の技術を活用しつつ将来の戦闘能力を高めていく考えです。

結論

将来装輪戦闘車両のプロジェクトは、装甲戦闘車両の進化を目指す重要な取り組みであり、今後も多様な技術や車両が開発されていく予定です。防衛省の新しい戦闘車両が日本の防衛力を強化する一翼を担うことが期待されています。

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