将棋会館

日本将棋連盟の拠点と新たな展開：将棋会館のすべて

日本将棋連盟には、全国各地に棋士の公式戦が行われる施設が存在します。その中でも特に重要な役割を担うのが、東京都渋谷区千駄ヶ谷にある将棋会館です。1976年に建設されたこの建物は、多くのタイトル戦や公式戦の舞台として知られており、棋士にとって重要な場所となっています。

将棋会館は、千駄ヶ谷駅や国立競技場駅から徒歩圏内に位置し、アクセスも良好です。当初は8階建てを予定していましたが、建築規制により5階建てとなりました。館内には、和室の対局室が複数あり、それぞれに趣のある名前が付けられています。例えば、「特別対局室」はタイトル戦など重要な対局に使用されます。その他にも、「高雄の間」、「棋峰の間」など、歴史を感じさせる名前の部屋が多数存在します。

かつては、棋士が自由に研究会や練習に使用できた部屋もありましたが、対局数の増加に伴い、現在は全てが対局室または関係者控室として活用されています。また、一般の人が参加できる将棋教室なども開催されており、将棋文化の普及にも貢献しています。

将棋会館の建設には、多くの関係者が尽力しました。女優の吉永小百合さんや三菱電機などの企業からの多額の寄付金、そして将棋界の重鎮たちの尽力があってこそ完成したものです。「高雄の間」の名前は、三菱電機が販売していたテレビのブランド名に由来するとも言われています。

将棋会館は、長年の使用により老朽化が進み、耐震工事なども行われました。そして2023年、ヒューリック株式会社への売却が決定し、新たな将棋会館の建設が開始されました。新会館は千駄ヶ谷センタービルの一部に移転する予定です。

地方の将棋拠点：北海道将棋会館と名古屋将棋対局場

将棋会館以外にも、日本将棋連盟は北海道と愛知に施設を所有しています。北海道将棋会館は札幌市に所在し、北海道の将棋愛好家のための道場やイベント会場として機能しています。一方、名古屋将棋対局場は、トヨタ自動車名古屋オフィスの会議室を改装して作られた新しい施設です。順位戦など、公式戦の一部がここで開催されています。

名古屋将棋対局場の開設は、藤井聡太竜王の活躍など、東海地方における将棋人気の高まりを受けて実現しました。トヨタ自動車の全面的な協力によって、最新の設備を備えた対局場が実現しました。

新時代の将棋会館：ヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビル

2024年9月、新しい将棋会館「ヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビル」が竣工しました。旧将棋会館の老朽化と将棋界の新たなニーズに対応するため、クラウドファンディングなども活用して建設されました。新会館は、旧会館よりも多くの対局室を備え、インターネット配信にも対応した設備が整えられています。

新会館には、将棋道場やショップ、カフェなどを併設した複合施設「棋の音」もオープンしました。さらに、ユナイテッドアローズ本社が移転することから、両社のコラボグッズなども販売される予定です。新会館は、将棋文化のさらなる発展に貢献すると期待されています。

関西将棋会館：高槻市への移転計画

関西将棋会館は、現在大阪府大阪市福島区に所在していますが、2024年12月には高槻市に移転する予定です。高槻市は、多くの棋士を輩出しており、「将棋のまち」として知られています。移転によって、関西地方における将棋文化のさらなる発展が期待されています。

将棋会館の歴史：戦前から現在まで

現在の将棋会館ができる以前、日本将棋連盟は様々な場所に事務所を置いていました。戦前には青山、赤坂、麹町などを転々とし、戦後は後楽園球場の中に事務所を構えていました。1949年には中野区に移転し、1961年に現在の千駄ヶ谷に移転しました。現在の建物ができる以前は木造2階建ての建物でした。

まとめ

日本将棋連盟の施設は、将棋文化の普及に大きく貢献しています。将棋会館、北海道将棋会館、名古屋将棋対局場、そして新しいヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビルは、将棋ファンにとって特別な場所であり、これからも将棋界を支えていくでしょう。将棋界の発展の歴史と、将来への展望を垣間見ることができる重要な施設群です。

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