尊師マーチ

尊師マーチについて

尊師マーチは、オウム真理教が制作した楽曲の一つであり、特にその軽快で覚えやすいメロディが多くの人々に記憶されています。この曲は、オーケストラとシンセサイザーのサウンドが融合したもので、オウム真理教の他の楽曲と同様の特徴を持っています。そのため、耳に残りやすく、さまざまな場面で歌われることがありました。

尊師マーチのルーツとなったのは「麻原彰晃マーチ」です。この曲は1990年の第39回衆議院議員総選挙に向け、麻原彰晃と真理党のプロモーションとして作られました。具体的には、1989年の麻原の自宅マンションでレコーディングされ、その年に公表されました。この曲の歌詞には、麻原が立候補した選挙区の地名や、教団の政策である「消費税廃止」や「教育改革」が盛り込まれていました。

作詞および作曲者として名義が示されたのは「真理の御魂 最聖 麻原彰晃尊師」ですが、実際の作曲は教団の音楽班のリーダーである鎌田紳一郎が手がけており、作詞についても麻原の名が記されています。この曲には富田隆によって振り付けが考案され、教団の活動の一環として活用されていました。

後に、宗教的な要素が強くなったため、歌詞は改訂されて「新・麻原彰晃マーチ」と名付けられました。しかし、信者から「尊師を呼び捨てにするのは不適切」との意見を受け、「彰晃」の部分が「尊師」に改められ、これが現在知られる「尊師マーチ」となりました。また、麻原のシヴァ大神への帰依をテーマにした「シヴァ大神マーチ」も存在します。

社会への影響と反響

1995年の地下鉄サリン事件以降、オウム真理教に関連する報道が急増しました。特に、真理党による選挙活動の映像が繰り返し放送されたこともあり、この曲が多くの人々に知られることとなりました。このような報道の中で、子供たちが教室でリコーダーやハーモニカなどを使ってこの曲を演奏したり、登下校の際に口ずさんだりする様子が問題視されました。

さらに野球選手の松井秀喜がバッターサークルに立つ際、頭の中でこの曲が流れて離れなくなったエピソードもあります。原辰徳もまた、「エンマの数え歌」を覚えてしまったという話があります。そのため、オウム真理教はこの楽曲を利用して自らのプロモーションを行い、サティアンショップではカセットテープも販売されていました。

このように、尊師マーチはオウム真理教の音楽の一部であり、社会的にも注目を集める存在となっていました。特にそのメロディは身近なものでありながら、教団の背景に結びつくことから、社会に与えた影響は少なからず大きなものでした。

もう一度検索