小ブルジョア

小ブルジョアとは

小ブルジョアとは、フランス語の「petite bourgeoisie」から派生した用語で、資本主義社会における下位中産階級を指します。具体的には、農民や小商店主、職人などが該当し、さらには弁護士や医師などの専門職、芸術家、俳優などもこのカテゴリーに含まれます。これは彼らが少量の生産手段を私有しているためであり、広い意味では知識や技能を生産手段として扱うことができるという特徴があります。

歴史的背景

18世紀から19世紀初頭の資本主義の発展に伴い、資本家と労働者の間に位置する存在として認識されてきた小ブルジョアは、経済的には中間層としての役割を果たしてきました。彼らは多くの労働者を雇うような富を持たないものの、労働者のように完全に生産手段を奪われているわけではありません。このため、彼らは資本家と労働者の二極の間で特徴的な立場に立っています。

職人や小商店主などは歴史的に自営の形態を取っており、また弁護士や医療関係者も自身の専門知識をもって独立しているという点で小ブルジョアと見なされることもあります。サラリーマンもまた、特定の技能や知識を必要とされるため、この層に組み込まれることが多いです。

社会的特徴と政治的立場

小ブルジョアは中間層であるため、経済的な立場が非常に不安定で、状況によっては「保守的」または「反動的」と見なされることもあります。一方で、時折、極端な「革命的」または「左翼的」な動きに増して、テロやゲリラ的な手段に訴える状況も見受けられます。このような急進的な側面はプチブル急進主義とも呼ばれ、流動的な立場を持つ小ブルジョアの特性を反映しています。

著名な思想家である黒田寛一は、彼の著作において小ブルジョアの意識を分析しており、「生活はプロレタリアに近いが、ブルジョワに近い意識を持つ」と表現しています。このことは、現代における無党派層の動きにも通じる部分があります。

政治的言葉としての用法

かつてマルクス主義の文脈において、小ブルジョアはしばしば「日和見主義」や「極左冒険主義」の蔑称として使われました。この意味合いでは、新左翼の諸党派が旧日本社会党に対し用いる場合が多く、また日本共産党のスタンスから学生運動や新左翼内の活動に対しても批判的に使われることがありました。

新左翼の党派同士の批判においてもこの用語が使われますが、その意味は批判の主体と目的によって異なります。たとえば、革マル派はしばしば他党派を「極左冒険主義」と捉えることが多い一方、ブントなどは「日和見主義」として他党派を批判します。

現代における小ブルジョア

最近では、この用語は古典的な意味合いを超えて、単に平均的よりも少し良い生活を送っている人々を指すことも増えてきました。この文脈で使われる場合は、一般的に「プチブル」と呼ばれることが多いです。

このように小ブルジョアという概念は、歴史的な背景や社会的な立場、政治的な意味合いとともに、時代によって変化し続けています。

もう一度検索