小久保実

小久保実（1923年9月25日 - 2011年6月21日）は、20世紀後半の日本における現代文学研究に貢献した研究者です。彼の研究は、特に堀辰雄を中心とした作家や作品に焦点を当て、戦後文学の領域を深く掘り下げたことで知られています。

大阪府に生まれた小久保は、関西大学で学び、その後同大学院の博士課程に進みました。博士課程では単位取得満期退学した後、関西大学や関西外国語大学で助教授として教鞭を執りました。その後、園田学園女子短期大学助教授、大谷女子大学教授を経て、帝塚山学院大学教授・名誉教授を務め、後進の育成に尽力しました。

小久保実の研究の特徴は、特定の作家に焦点を当て、その作品世界を詳細に分析する点にあります。特に、堀辰雄の研究においては、彼の作品の文学的な価値を再評価し、その思想や背景を明らかにしました。また、中村真一郎や立原道造、遠藤周作など、他の重要な作家についても研究を行い、彼らの作品の独自性や文学史における位置づけを考察しました。

著書としては、初期の『堀辰雄』（1951年）や、詳細な分析を加えた『堀辰雄論』（1965年）などがあります。これらの著作は、堀辰雄研究の基礎を築いたものとして高く評価されています。また、『中村真一郎論』（1975年）や『立原道造』（1983年）など、他の作家に関する研究も発表し、幅広い視野で現代文学を捉えました。戦後文学全体を考察した『戦後文学の領域』（1976年）も重要な業績です。

共著や編著としては、『戦後文学 展望と課題』（1968年）、『堀辰雄 中村真一郎共著』（1972年）、『瀬戸内晴美の世界』（1980年）、『論集・堀辰雄』（1985年）などがあります。これらの著作を通じて、小久保は他の研究者との共同研究や、新たな視点からの文学研究を推進しました。

小久保実の業績は、現代文学研究に多大な影響を与えました。彼の研究は、文学作品の解釈や評価に新たな視点をもたらし、後続の研究者たちに多くの示唆を与えました。また、教育者としても多くの学生を育成し、日本文学の発展に貢献しました。

参考文献としては、文藝年鑑や日本文藝家協会ニュース2011年7月などが挙げられます。これらの資料を通じて、小久保実の生涯や業績についてより深く知ることができます。

小久保実は、その生涯を通じて日本現代文学の研究に情熱を注ぎ、多くの重要な研究成果を残しました。彼の研究は、今後も日本文学研究において重要な位置を占め続けるでしょう。

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