小倉忠夫

小倉忠夫：日本の美術を彩る評論家

小倉忠夫（1929年3月22日-）氏は、日本の美術史に大きな足跡を残した美術評論家です。岡山県に生まれ、東京大学文学部美学美術史学科を卒業後、国立近代美術館、京都国立近代美術館といった日本の主要美術館でキャリアを積みました。その経歴は、日本の美術界における氏の高い地位と影響力を如実に示しています。

氏のキャリアは、単なる美術館勤務にとどまりません。国立国際美術館館長、京都国立近代美術館館長を歴任しただけでなく、名古屋ボストン美術館館長、大原美術館館長なども務め、日本の美術を代表する美術館の運営に深く関与しました。これらの経験を通して、氏の美術に対する深い知識と、組織運営能力の高さが証明されています。

小倉氏の功績は、美術館の運営だけに留まりません。数々の美術関連書籍の執筆・編著・翻訳を通して、日本の美術史研究、ひいては美術文化の発展に大きく貢献しました。

執筆活動：多岐にわたる美術書の出版

小倉氏は、『日本洋画の道標』などの単著をはじめ、多くの美術全集や画集の編著、共著に携わっています。その内容は、日本近代絵画から現代美術、西洋美術まで多岐に渡り、日本の美術史を深く理解するための貴重な資料となっています。

例えば、『講談社版日本近代絵画全集』では、竹久夢二、村山槐多、関根正二といった日本近代絵画を代表する巨匠たちの作品を詳細に解説。また、『現代日本美術全集』では坂本繁二郎を取り上げ、その作品世界を深く掘り下げています。さらに、西洋美術にも造詣が深く、『現代世界美術全集』ではアンソール、マグリット、ダリといった巨匠たちの作品を分析しています。これらの著作は、専門家のみならず、美術愛好家にとっても必携の書と言えるでしょう。

翻訳活動：海外美術の紹介

小倉氏は、イサム・ノグチやラウル・デュフィといった海外の著名な芸術家の作品を紹介する翻訳にも携わっています。これにより、日本の読者にとって、海外の現代美術への理解を深める機会を提供しました。

受賞歴：美術への貢献が認められる

1999年には、美術文化の発展への貢献が認められ、勲三等旭日中綬章を受章しました。これは、氏の長年にわたる活動と実績が、国家レベルで高く評価された証です。

小倉忠夫氏の業績：まとめ

小倉忠夫氏の生涯と活動は、日本の美術界に多大な貢献をした、数少ない美術評論家の軌跡を示しています。美術館長としての経験、数多くの書籍の執筆・編著・翻訳、そして勲章の受章。これらの事実は、氏の美術に対する深い造詣と、その活動を支えた情熱を示しています。小倉氏の功績は、今後も日本の美術史研究において、重要な役割を果たし続けるでしょう。

主な著書・編著書・翻訳書

『日本洋画の道標』
講談社版日本近代絵画全集 第8巻
近代世界美術全集 第12巻
宿命の抽象画家坂田一男
現代日本美術全集 11
現代世界美術全集 22, 25
巨匠の名画 13
日本の美術館 8
ある彫刻家の世界（イサム・ノグチ）
ラウル・デュフィ

これらの著作は、日本の美術史研究において重要な資料であり、美術愛好家にとって貴重な情報源となっています。小倉忠夫氏の活動は、日本の美術文化の継承と発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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